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身代わり花嫁と公爵の事情

「まあ、フラン様ったら。お顔が見事な緑色。馬車に酔われましたか?そうそう、いいお薬が……」 「違うよ……」足元の鞄を探ろうとするケティを押しとどめる。 「姉上のせいだよ。男の僕を花嫁に仕立て上げるなんて、むちゃくちゃすぎる。ばれたらどうするんだ…

東京レイヴンズ(6)

「儂らの世界において、『礼』とはすなわち『技』を指す」 「技?」 「左様。古くは人と神、のちには人と人との繋がりによって生ずる力。それを良く用いるがための技、作法、式こそ、『礼』じゃ。むろん、お主の言う道徳だの礼儀作法だのも、元を正せばこれ…

QED 伊勢の曙光

「定事……って、天皇家にとって、伊勢神宮の祟りは通常の出来事だったというんですか!」 「そうね」 「祟りが?」 「はい」 説明が付きそうでつかない仮説にもどかしさを感じていたけれど、最後の最後でピタっとはまってくれるから、このシリーズは面白いん…

扇舞う(2)

「殿、お覚悟はよろしいですか?」 祥三郎はうなずいた。不思議と、静かな心持ちだった。 「……扇を広げることにしよう」 このシリーズは、家臣たちが祥三郎を見守るときの視線と同じ目線で、読んでしまう。子供から大人へと成長していく姿を目の当たりにして…

ビブリア古書堂の事件手帖(2) ―栞子さんと謎めく日常

「……この感想文ですけど……、厳密に言えば、違うんです」 「違うって、どこがですか?」 「内容、です」 彼女は重々しく言った。 「これを書いた人は、本当の意味で『時計じかけのオレンジ』を読んでいません」 相変わらずの雰囲気で描かれる二人の距離がいい…

R.I.P. 天使は鏡と弾丸を抱く

「罪悪感のために命を賭けても仕方がない。理性でものを考えろ」 「女は感情で生きる生き物なのよ」 「……それは、なにかの台詞か?」 「たぶん。なんだったか忘れちゃったけど」 雰囲気が抜群です。→ 感想

恋のドレスと花ひらく淑女 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー

「キスしたいか?」 「……うん」 「きみからしてもいいんだよ?たまには」 「そんなこと、できません」 「俺がしてもらいたいって言っても?」 ぶっちゃけこの巻で終わってもいいぐらいにいい雰囲気で終わっていましたが、まだ続くのか。見えてきた希望がつか…

アクセル・ワールド(9) 七千年の祈り

「ハルユキ君。キミは私のものだ。私は諦めない。キミを失うことなど容認できない。断じて」 面白かった。アッシュ・ローラーには驚いたけれど、ようやくたどり着いた災禍の鎧の結末が良かった。→ 感想

はたらく魔王さま!(3)

「……要するにあれだろ、お前ら」 「何よ」 「アラス・ラムスのことが好きになっちまったんだろ?」 いやあ、楽しかった!小さな子に振り回される魔王城の人々に頬が緩む緩む。育児の大変さと、それを補って余りある子供の愛らしさにやられました。勇者と魔王…

山がわたしを呼んでいる!

「呼ばれた?」 「ふっと登ってみたくなったり、今まで縁がなかったのに急に登ることになったり、そんなふうにして白甲ヶ山に来る人たちのことを、ここではよく『呼ばれた』って表現するんだ」 山のことなんて何もしらないド素人女子大生あきらが、口うるさ…

神様のメモ帳(8)

「なんのために?」 「なんのために、って」 「いや。すまない。これはなかば自問だよ。わからないんだ。ぼくらは今だれのために探偵をするんだ?」 四代目がメインとなるお話。繋がりのある短編集はコミカルなものからシリアスへと変わり……不器用な二人が、…

ロクサナと麗しの花婿たち

「い、いてくれるの?ここに残ってくれるの?」 「……察しろ馬鹿。言わせんな」 たのしかったー。強い女性たちに囲まれて、ひとり弱々しく生きている少女が、すこしずつ変わっていく姿が素敵。→ 感想

火の国、風の国物語(13) 英傑雄途

「アレス、命令だ」 クラウディアのそれは、独り言ではなく、命令だった。 「この国の戦乱を終わらせよ。そして、一人でも多くの命を救うのだ」 いやあ面白かった。アレスの活躍のみならず、配下についた者たちそれぞれの戦いが、戦力差を埋めていく展開が熱…

キスよりも遠く、触れるには近すぎて ヴィクトリアン・ローズ・テーラー

どうして、自分から周りの人間をはねつけたりするの? どうしてもひとりでいたいのなら、わたくしが見ていてあげる。 誰も注目しなくても、わたくしだけは、あなたのそばにいてあげる。 笑って。 シャーリーが可愛いったらない!→ 感想

ストライク・ザ・ブラッド(2) 戦王の使者

「あなたのことは、怖くないわ。不思議ね……世界最強の吸血鬼のくせに」 女の子たちの可愛いこと可愛いこと。ツンとしながらも、時々自分の思いを見せるようなヒロインたちに振り回される最強の吸血鬼にニヤニヤする。守るべきもののために戦い、でも、それす…

烙印の紋章(9) 征野に龍の慟哭吹きすさぶ

「おれは、確かに一度は逃げたのだ。あらゆることから――皇帝から、メフィウスから、ガーベラやエンデのことから、そして姫、あなたからも」 「――」 「しかし、おれをここへと呼び戻したのも姫だ」 ギルとしてカムバックする姿が格好よくて、このまま順調に行…

ようこそ、古城ホテルへ 湖のほとりの少女たち

「ここは古城ホテル『マルグリット』。あなたがたは、この古城ホテルの女主人と鳴るために迎えられました。……この城に残るものは生まれは問いません」 「女主人となれるのは、あなたかたの中でただひとり。あなたがたには、女主人となるため、私の審査を受け…

俺の妹がこんなに可愛いわけがない(9)

「……ごめんなさい」 「こっちこそごめん。助けてくれてありがとう。でも――ふざけんな」 ああ、ニヤニヤが止まらない。黒猫の妹視点によるお姉ちゃん話から始まり、シスコンな兄たちによる妹自慢大会とか、その逆、妹たちによる兄自慢とか、どれもこれもたま…

心星ひとつ ― みをつくし料理帖

「この歳になればわかることですがね、精進を続けるひとに『ここまで』はないんですよ。『ここまで』かどうかは、周りが決めることではなく、自分自身が決めることでしょう」 ああもう。女の幸せという言葉は、正しくもあり……だよなあ。思いが届きそうで、ま…

超特急便ガール!!

「人生な、いくらでもやり直しなんかきくんだよ。でもな、できるだけ最短距離でゴールまで行けりゃ、それに越したことはないだろ?」 最後の、思いを届けるようなリレーには、涙がじんわりきましたよ。同じ方向を向いた人たちが集まったからこそ、だよなあ。…

翼の帰る処3(下) 歌われぬ約束

「希望を持つのは、生者の特権なのです。昨日は過ぎ去ってしまっていても、まだ今日があり、明日がある。あなたは風霊ではない。日々の積み重ねが次へ繋がると、理解できるはずです。それが、生きるということです」 ヤエトさんがとてもたらしだった。隠居が…

パーフェクトフレンド

「だから友達は素晴らしいんだ」 これは楽しかった!友達はどうやって作るか。どうして友達は必要なのか。そんなことを小学四年生たちが見つけていくお話。もう可愛くて、楽しくて、大変だった。けど、それだけじゃないのは、この著者なら当然のこと。急展開…

ご主人様はご機嫌ななめ

「待ちなさいパミーナ、やけになっちゃいけないよ!」 「もう他に方法がないの。私、あんな卑怯な男の後妻になるくらいなら―悪魔にだって、仕えてみせるわ!」 楽しかったー!読んでて頬が緩むのを止めることが出来なかった。追い出すためいびるご主人様と、…

暴走少女と妄想少年(4)

「でも」 「武留?」 「一人よりは楽――退屈じゃない…………かも」 武瑠が、ちゃんとヒロインしてる!女の子のみならず、男の子も可愛くて仕方なかった。これは良きラブコメだなあ。→ 感想

花狩のロゼ 歌姫は薔薇を殺す

「あなたも、思いっきり、歌って。絶対に合わせてみせるから」 クロードがなにか答える前に続けられた言葉は、 「剣に心を奪われかけても、花の恐怖に足が竦んでも、迷わない。あなたの声だけを聴いてるから」 これは面白かった!愛する人を失った少年が、言…

のうりん

「だいたいさー、あんたいっつも東京行く東京行くって言っとるけど、行って何するつもりやの?」 「トレンディーな農業をやるよ」 「トレンディーな農業!?」 「作物が芽生えるのと同時に恋も芽生えるような……」 「んな都合のええ農業あるかっ!」 田舎の素…

アルトレオの空賊姫 暁天の少女と世界の鍵

「ヴォーパルだよ。帰りの荷物持ちがかかってただろ?オレは八つとってきた。ヨシュウは?」 「六つ」 「ヤフェトは?」 「俺は、女の子が一人」 「…………はあ?」 これはいい。記憶を失ったことから、自信なさ気だった少女が、だんだんと前を向く姿が素敵。ま…

ユニコーンの恋文

どうしよう、……どうしよう。 ばかだ、私。やっと気づいた。こんなに、この人のことが好きだった。 真っ直ぐな思いがキュンキュンだった!意識するまでは踏み込めて、意識してからは踏み込めなくなって。募る思いの描かれ方が好き。最後はお約束ながら、うん…

マッケンジーの山

「それはわかっているが、こうして家に抱きかかえていって愛を交わすほうがロマンチックだろう?」ウルフはメアリーに笑いかけた。 「今愛し合ったばかりよ」 「だから?」 これはよいものだった。差別の残る町で、周囲の人に恐れられているインディアンであ…

ソードアート・オンライン(8) アーリー・アンド・レイト

「このまま放置はできないわ。もし<県内PK技>みたいなものを誰かが発見したのだとすれば、早くその仕組みを突き止めて対抗手段を公表しないと大変なことになる」 「……俺とあんたの間じゃ珍しいけど、今回ばかりは無条件で同意する」 「なら、解決までちゃ…