ゆうきりん

魔王なあの娘と村人A(2) ―牛と勇者とパンプキン

まったく。 こいつらのしていることは、本当にバカみたいだ。 だけど。 ……やっぱり、少しうらやましい。 お約束のように鈍い佐東君でもドキドキしちゃうぐらい、竜ヶ峯の可愛さがこれでもかと描かれていて、どうしてくれようかと思いました。楽しいなあ。ま…

魔王なあの娘と村人A―幼なじみは勇者です

「で、でも、おまえたちは自分がやれることがわかってて、将来も決まってて心配とかないだろ?やっぱりそれはうらやましいよ」 「そんな風に思うんだ」 竜ヶ峰は微笑んだ。だが、その微笑みはなぜだろう、どこか悲しげに見えた。 「でも……わたしは、あなたた…

キバセン!

くそっ。 どうしてくれる。どうしてくれよう。 俺の気持ちにも、火がついちまったじゃねーか!負けるのが大嫌いだった昔の俺を思い出しちまったじゃねーかよ! ほんとに騎馬戦のお話しだった。重騎馬は馬三人上に武者、軽騎馬は肩車と言った具合に、チーム最…

司書とハサミと短い鉛筆

「自身も本であるのに、他の本は奴が読むからよいとしても、奴自身を誰が読んでくれるのじゃ?開いてくれるのじゃ?」 「あいつは、誰かに開いてもらわなくたって、実体化できるんだろ?」 「そういうものではないよ、フミヒト。拙を含めて≪本≫は、人に読ん…

煙突町の赤魔と絶望少年

「待って?」 愁太は、腕をつかまれた。がっしりと、とても強く。 「まだ、話は終わってないよ?」 くすり、と笑う。 …………。 待て。 待て待て待て待て待て待て。 ちょっと待て! どうして俺の手をつかめるんだ? あの人は、両手でトレーを持っていたじゃない…