身代わり花嫁と公爵の事情

「まあ、フラン様ったら。お顔が見事な緑色。馬車に酔われましたか?そうそう、いいお薬が……」
「違うよ……」足元の鞄を探ろうとするケティを押しとどめる。
「姉上のせいだよ。男の僕を花嫁に仕立て上げるなんて、むちゃくちゃすぎる。ばれたらどうするんだよ。失神しそうだ……」
「結婚式が始まるまでの代理じゃありませんか。裸にならない限り、露見しやしませんわよ」

これはめっちゃ面白かった!姉の振りして女装したら、相手は男色だったとか、どんだけ捻くれてる設定だ。もう楽しいったらない!一話目も、二話目も、可愛いお話だった。→ 感想

ココロコネクト ニセランダム

「俺の考えが本物かどうかわからないんだよ。どうやって判断したらいいと思う?」
「うん、その考えは、なにもしないでそのままだったら、偽物かもしれないよね」
話す円城寺は、少し得意げだった。
「だから行動して、自分で『本物』にするんだよ」

なんていうか、気持ち悪い話だった。五人の関係をどうやって壊すか考えて、疑念の種を蒔いては、少しずつ少しずつ、ギクシャクさせていくんだから、本当にこの黒幕は性格が悪いな。→ 感想

影執事マルクの契約

「それでは、<アルス・マグナ>に思い知らせてやるとしましょう――」

「――ヴァレンシュタイン家に仇なすことが、どれほど割りに合わないことか」

まさに最終巻という感じの盛り上がり!オールキャスト大活躍で面白かった。→ 感想

天の花嫁

「天人なら、あれくらいのことは誰にでもできる」
「いいえ、できなかったわ」
杏麗は首を横に振った。
「私を守ってくれたのは、あなただった。他の神様や仙人じゃなくて」

なんだこの甘いお話は。展開としては、あっさりしていて、大きな起伏があるというわけではないんだけど、読まされる。→ 感想

東京レイヴンズ(6)

「儂らの世界において、『礼』とはすなわち『技』を指す」
「技?」
「左様。古くは人と神、のちには人と人との繋がりによって生ずる力。それを良く用いるがための技、作法、式こそ、『礼』じゃ。むろん、お主の言う道徳だの礼儀作法だのも、元を正せばこれに当たるがの。生憎儂らの世界では、『礼』は、より原始の姿で用いられる。技の伴わぬ形だけの『礼』など、単なる懇願。いっそ――無礼じゃ」

大人たちの格好良さが半端じゃない。こういうところが、あざのさんの味だと思います。目の当たりにした呪術の戦いで、少年少女たちは、何を見つけていくのか。これからが楽しみで仕方ない。→ 感想

竜宮ホテル 迷い猫

「ぼくはたしかに、幸運な人間かもしれない。でも、幸運はぼくをときどき不幸にします」

とても優しいお話だなあ。若くして作家になり、独り立ちせざるを得なくなった家庭の事情があって、いろいろなことから目をそらしていた響呼が、ひとつの出会いから、優しさに包まれていく展開が素敵でした。心が暖かくなる。→ 感想