紅葉抄 思索部シリーズ

クールな希依子と天然なさつきが、事件の裏に隠された想いを解き明かす「思索部」の事件簿です。

なんかむずかゆくなってしまうのは、女の子同士のまっすぐな想いが見えるからでしょうか。さつきが希依子に見とれ、それをクールに希依子が受け止め肯定するやり取りは、周囲にいる人じゃなくても、ひゅーひゅーと言いたくなるものがある。

そんなふたりが関わる三つの事件が収録されています。

  • ふたりがモデルとなった絵のキャンバスに穴が……「桜の花は秘密とともに
  • 図書室の資料に挟まれていた暗号の意味は……「暗号のコンフリクト
  • 学園祭に犯行声明?誰が何の目的で……「学園祭ディテクティブ

一編目のお話は、思索部が何をもって謎を解こうとするのかが、伝わってくるお話でした。
謎には隠された想いがあり、それを暴くというのは、時に残酷なことだけれど、明かされない想いほど苦しいものはなく。伝えるべき人に伝えるべく、謎を解く。その姿勢が素敵でした。

これは二編目もそうだったんですけど、ただこの暗号はわかりにくいというか、解けないですから!なものだったので、そのあたりは置いとくとして、かつて少女だった先生の思い出に触れる物語に、ついつい自分の学生時代に思いを馳せてしまいました。

個人的に一番好きなのは三編目。学園祭に反対するものが仕掛ける罠と実行者を探すお話なんですが、それまでは、思索部のふたり+写真部の里奈の組み合わせで動くことが多かったんですが、学園祭ということもあり、他の部活の生徒や生徒会長さんの姿もあったりして、とてもにぎやか。
またこの生徒会長さんが、すっごい魅力的なんだ。何やら思索部との関係というか、過去を匂わせたりしているので、ぜひともそのあたりのお話を読んでみたかったりする。

事件そのものは、あの質問の時点で確定しちゃうんですが、そこから見せる思索部ふたりが、この事件をどう扱うか話が興味深かったな。

個人的には百合って匂わすぐらいが好きなので、毎回最後にすることは、蛇足な印象を受けるんですが、これはたぶん、好みの問題でしょうね。