AAST

「アンゲルゼ」シリーズの著者による同人誌です。須賀しのぶさんによる小説「クリスマスプレゼント」「金の女王と銀の翼」と、梶原にきさんによる漫画「さくら 前編・後編」、駒田絹さんによるイラストが収録されています。

シリーズを読んだ人なら、表紙を見ただけで涙ものですよね。「作品内で見てみたいシーン」アンケートの一位を取るのもうなずけます。っていうか、僕もこれが一番見たかった。ちなみに二位、三位は、カラー口絵に収録されています。表紙は、AASTのサイトで拝見できます。

以下、シリーズ読んだ人向けの感想で。
クリスマスプレゼント」は、最終巻のちょっと先を、湊、もーちゃん、遙、敷島のそれぞれの視点から描いたお話です。
どのお話もいいけど、やっぱり印象に残るのは、親のお話かな。遙、そして敷島の視点で語られる物語には、子を思う親の強さを感じました。特に敷島の格好よさといったら!
おそらく一度は休みたいと、もういいだろうと考えたと思うけど、プレゼントを受け取ってしまった父の感動には、グッとさせられて。そんな一面を見せながらも、娘のために再起をはかる自信家っぷりが素敵でした。
なんていうか、このお話読んでると、もどってこいよ、という思いが伝わってきて、何ともいえない気持ちになる。

金の女王と銀の翼」は、アンゲルゼ側のお話と言えばいいのかな。人とは決定的に違うアンゲルゼの考え方や、その成り立ちなど、今まで明らかになってなかったところ(だよね?)が見えてきます。
そういったお話も去ることながら、ヒナにアンゲルゼや女王蜂のことを伝える「姉」との関係が見えるのもいい感じでした。自然と「姉さん」と呟いてしまう彼女の心の変化が嬉しく思ったり。
もうひとつアンゲルゼ側では、最終巻後のヒナたちの動向をどうするかということについて、ロンの視点から語られてましたが……彼は苦労することになりそうだ。
決して世間知らずというわけじゃないんだけれど、やはり甘さはあり、それ以上に困難な道を進もうとする女王につくんだからなあ。

それでも、決して女王を見捨てず、さりとて単なるイエスマンで終わらない覚悟を決める彼は、きっと苦労以上の充実感を得るんだろうなあと思ったりする。こういう話は好きだ。

梶原にきさんによる漫画「さくら」は、タイトルどおりさくらを描いたお話なんですけど、圧巻すぎる。一面に描かれたさくら模様は、きれいでこわくて。素敵でした。
にしても、敷島が格好よすぎて、どうしてくれよう。