2011年6月24日の日記

週末は絶対本の整理をする。あのタワーを何とかしない限り、僕の寝床に風が通らない。

今日は午前中お仕事をして、午後半休。急なことだけど、申請したらあっさり通ったのが驚いた。歌舞伎という言葉が、上司にものすごく響いたらしい。むしろ半休じゃなくて全休していけという勢いだった。あの人は、変なところで反応するな。

ともあれ、歌舞伎を見に新橋演舞場へ。その前にお誘いいただいたまひさんと、お昼を食べるべく待ち合わせ。歌舞伎の会場は銀座にあるということで、その付近で……なのに、待ち合わせ時間から、30分遅れてきやがりました。チケットという人質がなかったら、ぷちっていけたのに。あ、でも、お昼食べたお店は美味しかったな。
食べ終わったのが14時半頃。開演は16時半なので、時間あるけれど、万が一、道に迷うことを考えて、先に移動。幸いなことに、大きく迷うことなくたどり着けたので、あとはそばのカフェで時間つぶし。隣に座ってるおばちゃん連中が、とても腐女子でどうしようかと思った。
初歌舞伎ということで、勝手が分からないふたりは、まずイヤホンガイドがあった方がいいだろうってことで、申し込む。たまにうざく感じることもあったけど、あったほうが話が分かることも多かった。
演目は「吹雪峠」「夏祭浪花鑑」「色彩間苅豆 かさね」。
「吹雪峠」が一番まとまりが良く、「色彩間苅豆 かさね」が一番わけわからないけれど、面白かった。たぶんメインは「夏祭浪花鑑」だと思うけれど、三幕のうち始めの二幕は良かったんだけど、最後がちょっと……と思った。

吹雪峠

吹雪の中、山小屋にたどり着いたのはワケあり男女。実は兄貴分の奥さんを寝とって駆け落ちしたそのところへ、偶然寝取られた兄貴分の男がやってきて、というお話。「心に潜む愛欲と憎悪など人間の本能を鮮やかに描き出した新歌舞伎」となっていたので、どんなどろどろした話なのかと思ったけれど、クスって笑えるところがたくさんあった。もしかしたら、僕の感覚はおかしいんじゃないかと思ったけど、みんなも笑ってたので、大丈夫。最後は、悲劇だよねえ。寝取られな関係の三人が出会ったのに、誰も死なず、でも誰も幸せになってない。

夏祭浪花鑑

喧嘩で囚えられ、死罪となったところをとりなしてくれた恩人の息子・玉島磯之丞とその恋人のために、立ちまわる男・団七のお話。恩人の息子は、まあいうなれば色男で、人は悪くないんだけど、あちこちで色問題を起こしてしまうわけですが、まあ、そのあたりはいいや。
団七や三婦など、磯之丞をかくまう人たちは、喧嘩っ早いけれど弱い者の味方みたいな、きっぷの良い人達ばかりで、磯之丞の恋人に言い寄る男や小悪党たちを、やり込める様が痛快で面白い。立ち回りもよくて、喧嘩して仲良くなる、みたいなシーンもあったなあ。
三幕あって、そのうちの二幕は本当に面白いんだけど、三幕目が……どうにも合わなかった。同じことの繰り返しが多い上に、え、これで終わり?みたいな。いや、あれは切ない終わり方だとは思うけれど、もうちょっと白黒はっきりしたほうが好みだなあ。っていうか、一幕目、二幕目の人たちの活躍がなかったのが一番あれかしら。

色彩間苅豆 かさね

不義密通で逃げる男女の物語。実は男の方は、かつて女の母親とも密通していて、父親を殺していたという、いうなれば女の敵だったということが、この場で明かされていくところから……だんだんホラーになっていくところがすごい。
ほとんど言葉によるやり取りはなく、長唄による状況説明なので、なにがなんだかわからないところがおおかった。イヤホンガイド大活躍だった。男を追いかけてきた女と、女を元の所に戻そうとする男の、複雑な心情を見せていたと思ったら、父殺しの怨念が好きな女のところに向かって……急に暗くなった舞台で、倒れた女にだけライトがあたったところが、すごい怖い。しかも動く指先が何を示すかわかると、本当にぞくっとくる。このおはなしが一番好きだ。

始めのお話が30分、幕間25分、次が2時間ぐらい、幕間30分、最後が50分か。16時半から21時ぐらいまで、長かったけれど、良かったです。やっぱり生で見ると違うなあ。存在感というものの大きさを実感しました。超素人の僕ですら感じられるほどのオーラがありました。

これはまた違う演目を見に来たいなあ。二回目ならもっとリラックスして見られるはず。うん。