最後の夏に見上げた空は 3

進級。それは遺伝子強化兵として生まれた者たちの最後の年を意味する。
最後ぐらいは家族と暮らしたほうがよい。そう思い送り出そうとする名門。
だが、出会った過去を小谷に話とき、自分の気持ちに気がついた。
- また同じ過ちを繰り返そうというのか -
それを告げられたときの感情を表現する術を小谷は持ち合わせていなかった……。
そして最後の夏が始まる。


ラストははじめからわかっている。そういう設定だから。
だからといって、悲しさが弱まるわけでもない。辛さが弱まるわけでもない。
不器用な二人が不器用でありつつ、懸命に求め合い、すれ違い、助けられ、歩んでいく。


自分たちはとんでもなく不器用だった。
相手を思いやっているがために、すれ違ってばかりで。
思いに気づいても、伝えられず、一人胸に秘めるばかりで。
それでも、確かに恋をしていた。

この言葉がすべてを物語る。
甘いところがあるものの、きれいに紡がれた物語。
とても素敵なシリーズ完結編。


最後の夏に見上げた空は 3 - 住本優


前作の感想: 最後の夏に見上げた空は 2