電子の星 池袋ウエストゲートパークⅣ

元 G ボーイズのツインタワーがオーナーのラーメン屋「七生」。
良かった評判がいきなり落ち込むほど、相次ぐ嫌がらせ。
何とかならないかとタカシから依頼を受けたマコトは……


そんな「東口ラーメンライン」を含む「ワルツ・フォー・ベビー」「黒いフードの夜」
「電子の星」の四篇からなるの短編集。


ぼくがもっとも気に入ったのは「黒いフードの夜」。
店番をしながら痛んだフルーツを捨てようとしたマコトに、その男の子、サヤーは言った。
「それ、もらえないでしょうか」
異邦の子供は礼儀正しくお礼を言って帰っていった。
そんな彼を取り巻く環境。それは違法で売春をせられるというものだった。
彼を助けるため動き出したマコトは……


「おまえはただしいと自分が信じることのためなら、どんなやばい手でも平気で打ってくるな」


タカシの言葉を裏付ける残酷とも言えるほどの策。
体を痛めつけられることよりもはるかにきついかもしれない。


Gボーイズ、刑事の吉岡、そして母親。
皆がちょっとずつ協力するってのは、シリーズでも類を見ないような。


甘いと感じるかもしれない心情をテンポよく読ませてくれる。
読後感は相変わらずのシリーズ第四弾。


電子の星 池袋ウエストゲートパークⅣ - 石田衣良