ネット小説感想

wonder wonderful

therehereの河上朔さんの作品。
突然、行方不明になった妹のヒナタ。戻ってきても何もしゃべらないので、無理やり聞き出したら、なんと異世界に行ってたらしい。しかも、結構な活躍をしてきたみたいで、話を聞いていると楽しいものだった。そんな異世界の旅が何度か続いたある日、異世界で危機に遭遇した妹が読んでる声がしたと思ったら、自分まで飛ばされる羽目になって。
何とか妹の窮地は救えたものの、その世界で自分は異邦人。妹のように実績もなければ、できることもない。妹の前では、みなそれなりの扱いをしてくれるけれど、なまじ妹が王妃候補にまでなっちゃってるから、あろうことか、周囲からは権力を狙う親戚の一人的視線でみられるようになっちゃって……という異世界ファンタジー
厳しい視線の中、落ち込むことはあるんだけど、人との触れ合いから元気を取り戻し、自分の位置を作り上げていく女性の姿を見ていると、ほんと元気になれる。語り手たるお姉さんのコカゲを応援しまくりでした。
また、コカゲの恋愛模様も楽しいんだ。特に彼女自身の自分ツッコミは、図書館戦争の郁の自分ツッコミに通じる面白さがあります。ええ、あのあたり好きな人なら、文句なしでハマれると思いますよ!
9月に書籍化されるらしいので、モニタで読むのがつらいなあと思う方は、そちらを待ってもいいかもしれません。夜更かし間違いなしな「☆☆☆☆☆」

恋をおしえて / 続・恋を教えて

ゆらゆら屋の深見鈴鹿さんの作品。
恋なんて時間の無駄。そう思って常に学年トップを維持してきた関口佳乃は、学年模試の結果を見て唖然とした。わたしが二位?憎き一位の欄に書かれた名前「神崎拓也」なんて男は今の今まで知らなかった。どうやら転校してきたばかりらしいが、わたしをあざ笑うかのような態度は許せない!気づけば、顔を合わす度に、いがみ合うようになり……という学園ラブコメ
良くあるといえば、良くあるお話なんだけれど、もうね、佳乃がメチャクチャかわいいんですよ。頭いいのに、神崎のことになると我を忘れて、突っかかる姿が楽しくて楽しくてしょうがない。
そして、いがみ合う相手の隣にいた心優しき男の子に、生まれてはじめての恋心を芽生えさせるんですが……自分の思いに振り回されたり、告白するときの振り絞る勇気や失恋の苦しさとか、いやあ、恋って大変だなあと思う次第。
佳乃には花乃という天然ほわほわな双子の姉がいて、きつい佳乃とは違って、人気があるものの、そのほわほわっぷりから相手の好意に気づかず、また本人も恋心を知らないために、なかなかそっち方面に話がいかないんですが、そんな花乃が恋をするお話が「続・恋を教えて」です。某男の子の頑張り実らないのを見ると、ああ優しいだけじゃ駄目なのねという妙な教訓を感じたりしますが、それはそれとして、初めての恋のお相手がよりによって、表では人当たりの良い、裏では厳しい二重人格な先生だというから、大変。でもね、天然な花乃に、心汚れたおっさんが……みたいなお話は、ほんと良くて、でも立場上、それ以上近づけなくて。苦しい恋に悩み、涙して、今までの自分とは違う思いを抱くようになり、それでも決して理想を捨てなかった少女の思いに、感動しまくり。
花乃だけじゃなくクラスメイトにも同じように辛い恋をしている人がいて。恋を通じて、さらなる友情を深めるお話だったり、姉妹の仲がよりいっそう強まるお話でもありました。佳乃は「続」のほうがよりツンデレてて、魅力的だったりするのは余談。
少女漫画的恋愛物語とか、ツンデレさんが好きな方なら、思いっきり楽しめる「☆☆☆★」

俺と魔王の四十七戦

へいじつやの古戸マチコさんの作品。
前世が勇者の高校生・長谷川圭一と、前世が魔王の女子高生・水谷あきら。壮絶な戦いをしたふたりが、現代の日本に転生したら、なんと幼馴染に?血統だ、ギャフンと言わせるのだと、何かとちょっかいを出してくるあきらを、今日も圭一はやりすごして……というラブコメディ。
すっごい楽しくて、すっごい可愛い。なんせ、あきらの嫌がらせは、好きな子にちょっかいを出すレベルなんで、もう見え見えなわけですよ。クラスメイトも思わず応援しちゃう可愛さに、ニヤニヤしちゃう。
圭一は、あいつは魔王なんだぞ!?と言うに言えないので、あの手この手で突っぱねてるんだけど、あきらが泣きそうになると手を貸しちゃうみたいなところがあって、このお似合いカップルめ!みたいな気持ちになります。
「四十七戦」のタイトルどおり、お題にあわせて一戦ずつ繰り広げられていくんですが、笑いが止まりませんでした。
最後はちょっとシリアスに……と思ったら、なんだそのおバカなオチは!でも、大好きだー!
ふたりを見守りつつ、ふたりをかき回して、美味しいところを持っていきまくるルパートにぐっじょぶ!と叫びたくなる「☆☆☆☆」

そんな感じで。