枳の庭

三四郎と正宗。幼い頃からの二人の遊び場に家が立ち、引っ越してきた四堂家には、ふたりより一つ年上の雅と同じ年の匠という姉妹がいて……常に一緒だった四人が、成長するに従い、すれ違いを見せていくお話です。

男の子女の子関係なく、一緒に遊べる子供時代っていうのは、とても貴重なものなのかもしれない。体つきが変わってくるにつれて、意識し出してギクシャクするというのは……大切に思う気持ちが分かるだけに、もどかしいものがある。

それでも男女ならともかく、三四郎と正宗の間に生まれたすれ違いは、辛いんですよ。喧嘩することができなった少年の日の出来事が、長く尾を引いて、お互い相手のことをわかっていて、信頼してるにもかかわらず、距離が生まれるんだから、やるせない。

それだけに、雅が小学校を卒業するときに「約束」が、離れ始めた四人を繋いでいったところには、なんか、こう、嬉しくなるものがありました。あったんだけどなあ……、いつまでも四人でいられないのかってことを感じさせるところに不安を覚えます。間に入ってきそうな静香は、さて、どんな思いでいるんだろう。

ところで、人間関係が気になるのは勿論ですが、それ以上に気になるのは、雅の言動ですね。彼女の闇というか、トラウマについては致し方ないものがありますが、身につけているものや「約束」を果たす場の話など、ミステリアスな状況を感じるだけに、これからどう話が進んでいくのか気になるところ。