2015年の読書まとめ

今年の半ばあたりからサイトの更新が止まっておりますが、まあなんていうか忙しくてな……感想を書く時間があるなら、本を読んでいたいお年頃。とはいえ、読んだ本については記録を残しておかないと、ほんとわからなくなるんですよね。この記憶力をなんとかしたい。

ともあれ、2015年に読んだ本について、各月ごとによかったのをつらつらと書いていきましょう。

2015年1月(読了数28冊)

漫画も含めてこの冊数なので、かなり少ない。あまり新しいシリーズに手を出していなかったので、これってのがなかったけど、そんな中、すっごいハマったのが、「勇者イサギの魔王譚」
勇者イサギの魔王譚1 夢の始まりを始めるために勇者イサギの魔王譚 2 それすらも幸せな日々だと気づかずに勇者イサギの魔王譚 3 鞄には愛だけを詰め込んで

異世界に召喚され、勇者として魔王を倒し、共に歩んだ愛する少女に告白した瞬間、再び召喚された。それも敵対していたの魔族の魔王候補として……というイサギの境遇が、はじめはシリアスすぎない感じだったけど、物語が進むにつれて見えてくるものが次第に重くなってくる。

新たな仲間との絆と別れと冒険が、熱く胸に痛いんですが、これ書籍だと三巻までなんですかね? なろうだと完結してるみたいなんだけど、書籍はでないのかしら。

2015年2月(読了数33冊)

書店で「火星でジャガイモを育てるお話です」というポップを見て手に取ったのが「火星の人」でした。開拓ものかと思ったら、ぜんぜん違った。

火星探査機で降り立ったら、砂嵐に巻き込まれ、ひとり残されてしまった宇宙飛行士が、助けがくるまで生き延びるというお話。

絶望的な状況なんだけど、試行錯誤を繰り返して、どこかユーモアを忘れない語り口のおかげで重くない。うまくいきそうと思ってもそこは宇宙、ちょっとしたことで状況が大きく変わっていくから、最後まで油断できない。

めちゃめちゃ面白かった。

火星の人 (ハヤカワ文庫SF)

本好きの下剋上」を読んだのも2月だった。活字中毒な女子大生が、書物がほとんど存在しない異世界に転生したので、何とかして本を作ろうと奮闘するお話。

前世の知識を活かして、といっても、紙という便利なものがあることを知っていても、その作り方なんてうっすらとしか覚えてないし、そもそも子供がそう簡単に作れるものじゃないしってことで、むしろ違うところで活躍していくんだけど、本人は本のために動いてるってのがとても楽しい。

また家族がいいんだなあ。両親もだけど、お姉ちゃんがちゃんとお姉ちゃんしてて、とても暖かい気持ちになれる。これまた大好きなシリーズです。

本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第一部「兵士の娘I」本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第一部「兵士の娘II」本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜 第一部「兵士の娘?」本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第二部「神殿の巫女見習いI」本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第二部「神殿の巫女見習いII」

2015年3月(読了数26冊)

いやもうね、「天鏡のアルデラミン(7)」を読んだ時の衝撃と言ったら!「あーーーーー」って声をあげましたからね。主となる者たちが積み上げてきた、未来へつながる希望が絶たれていくとか本当に……つらい。

早く続きでないかなー。

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (7) (電撃文庫)


「リーングラードの学び舎より」は、1年ぐらい前になろうで読んでました。すっごい長いお話だったのに、一気読みしちゃう面白さだったので、書籍になると聞いて、楽しみにしてました。なろうのときよりも読みやすくなってた。

「義務教育推進計画」で教師を命じられた王国屈指の術式師が、生徒と共に成長していく物語。決して熱い先生ではないのに、読み終わると熱いものが残る。そんな教育のお話でした。築かれる信頼関係が素敵。

リーングラードの学び舎より 1 (オーバーラップ文庫)リーングラードの学び舎より 2 (オーバーラップ文庫)

2015年4月(読了数31冊)

久住さんがミステリーを書くというのであれば、そりゃ手に取りますよということで、東京創元社から出た「星読島に星は流れた」。孤島を舞台にしたミステリーでした。そりゃわくわくしますよねー。

隕石にまつわる話や地球最後の日をどうすごすかといったそれぞれの考え方から見えるキャラが魅力的で、さらには謎の見せ方もよかった。最後に驚きも待ちうけていたし、正直やられたと思いました。よかったです。

星読島に星は流れた (ミステリ・フロンティア)


もう一冊は、孤児の少女が引き取られた家でいじめられ、家出した先で出会った青年と共に暮らすことで、少しずつ幸せを感じ始めたときに事件が起きて……という「雪の断章」。

ミステリーというよりかは、少女の成長が描かれるお話で、これがとても良いんだ。つらく重い過去から抜け出して、でもなかなか踏み込めない少女の揺れる思いと、周囲の温かい視線と、時折訪れる痛みが、温かく切ないです。

雪の断章 (創元推理文庫)

2015年5月(読了数31冊)

タイムトラベルが実用化された21世紀後半が舞台の「螺旋時空のラビリンス」。これはとても面白かったなあ。

美術品を盗み19世紀のパリに逃亡した同僚を連れ戻すというお話なんですが、繰り返される中で見えてくるものが切なくて……一気読みでした。絶望的な状況からどうなるのかと思ったけど、良いラストでした。

螺旋時空のラビリンス (集英社オレンジ文庫)

5月に読んだ明るく楽しいお話と言ったら「パーティガール」。

34の誕生日に、真面目ないい子をやめて、男を振り向かせる女になると決意した地味で退屈なオールドミスのお話なんだけど、せっかく外見を着飾っても、中身はなかなか変われないから危なっかしくてしょうがない。そんな彼女が気になって世話を焼いてしまう男が出てきて、はじめは別にそんなつもりなかったのに、というのはお約束ですが、これがとても楽しい。

コミカルな恋愛模様で目いっぱい楽しみ、同時にちょっとしたサスペンスでハラハラさせてくれて、そりゃもう満足な一冊でした。
パーティーガール (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

2015年6月(読了数23冊)

6月はなんでこんなに読了数が少ないんだろう……と思ったけど、このあたりからサイトに感想を書かなくなってるので、仕事が忙しくなったってだけですね、はい。

この月はもうこれしかないでしょう。「エスケヱプ・スピヰド」シリーズです。昭和101年。戦争によって廃墟と化した国で、軍最強の兵器「鬼虫」の一人である九曜と、彼と主従契約を結ぶことになった少女・叶葉が出会うところから始まるお話。

エスケヱプ・スピヰド<エスケヱプ・スピヰド> (電撃文庫)

1巻は出版された直後に読んで、面白かったけれど、話としては一冊で完結しているから、続きを読むのは……と二巻以降に手を付けるのをためらってましたが、完結後に読んでた人たちがあまりにも絶賛してたので、おそるおそる読み始めたら、まさかこんなに熱く、興奮させてくれるお話になるなんて!

特に、三巻以降は登場人物たちの成長っぷりや、敵となる相手との壮絶なバトルやドラマ、毎回引きがすごくて、そういう意味では、完結してから読んでよかったと思いました。今年一番面白かったといっても過言ではない。

エスケヱプ・スピヰド 2 (電撃文庫 く 9-2)エスケヱプ・スピヰド 参<エスケヱプ・スピヰド> (電撃文庫)エスケヱプ・スピヰド 四 (電撃文庫)エスケヱプ・スピヰド 伍 (電撃文庫)エスケヱプ・スピヰド 六 (電撃文庫)エスケヱプ・スピヰド 七 (電撃文庫)エスケヱプ・スピヰド/異譚集 (電撃文庫)

2015年7月(読了数44冊)

6月に比べて読了数が増えたのは、感想を書かなくなった分、読書に集中したからか、マンガが多くなったからか。

この月で印象に残っているのは、須賀しのぶの「雲は湧き、光あふれて」。これがとても青春だった。

高校野球を題材にして、ピンチランナーと記者とかつて高校球児だった人の視点から描かれる短編集は、それぞれの思いが伝わってくる。焦りや嫉妬や口惜しさもあるけれど、まっすぐで素敵だった。個人的には、記者さんのお話が好み。

雲は湧き、光あふれて (集英社オレンジ文庫)

あと「ゲーマーズ!」も面白かった。ゲーム好きなぼっち高校生が、学園トップの美少女に声をかけられて、というところから始まるラブコメなんだけど、勘違い・すれ違いっぷりがたまらなく面白い! めちゃめちゃ笑いました。

二巻はちょっと雰囲気が変わってあれ?って思うけど、三巻でまた面白いことになっていくので、ぜひ。

ゲーマーズ! 雨野景太と青春コンティニュー (富士見ファンタジア文庫)ゲーマーズ! (2) 天道花憐と不意打ちハッピーエンド (富士見ファンタジア文庫)ゲーマーズ!3 星ノ守千秋と初恋ニューゲーム<ゲーマーズ!> (富士見ファンタジア文庫)

2015年8月(読了数54冊)

この月は、これしかないよなあ。「六花の勇者」の6巻。これはすごかったよねえ。それぞれの思惑が絡み合って、すべてが一撃必殺みたいな手で、それがぶつかり合っていくうちに、予想もしない展開になっていくんですから。ラストまで息をつく暇もなかった。ってなことを、ラノベオフで小森さんと熱く語った思い出。

六花の勇者 6 (ダッシュエックス文庫)

2015年9月(読了数45冊)

9月は二冊。「りゅうおうのおしごと!」と「烏に単は似合わない」。

りゅうおうのおしごと!」は、タイトルそのまま棋士のお話。読み始めたときは、下ネタが多いなと思ってたけど、勝負が始まってからは、とんでもなく熱い展開でたまらない。棋士という世界がどれほどのものかということを見せつつ、重すぎないのはさすがだなあ。
りゅうおうのおしごと! (GA文庫)


「烏に単は似合わない」は、たしかt-snowさんの感想を読んで手に取ったんだったかな。人間の代わりに八咫烏の一族が支配する世界で、有力貴族の姫君4人が后候補として後宮へ集うお話。

少女小説っぽいと聞いていた通り、世間知らずで無邪気な少女が、他の三家に嘲笑されたり、意外な特技で若宮の気を引いたりと、お后様選びがどうなるのかとドキドキしながら読んでいたら……読み終わったとき、やられた!と思うことでしょう。
烏に単は似合わない (文春文庫)

続編となる「烏は主を選ばない」では、同じ話を若宮側から描いたもので、これをみると、ああなるほどと思うことが多いです。これは二冊セットで読んだほうが面白いんじゃないかな。
烏は主を選ばない (文春文庫)

2015年10月(読了数35冊)

また読了数が減ってるな。なんだろう。思い出せない。

10月は「講談社タイガ」の創刊ってことで、タイガから1冊。「バビロン 1 ―女―」を。

地検特捜部の検事が臨床研究不正事を追うというお話は、野崎まどなんだから、どこかでトリッキーなことが始まるに違いないと構えて読んでる自分をせせら笑うように、所謂社会派なミステリーでぐいぐい引き込まれる。ま、最後はやっぱり野崎まどなんですけど。とりあえず早く続きをお願いします。

バビロン 1 ―女― (講談社タイガ)

もう一冊は、「ハケンアニメ!」。出版されたのはかなり前なんだけど、読んだのが10月だったので。

アニメ制作をプロデューサーや監督、アニメータの視点から描くお仕事もの。これが本当によかった。それぞれの視点から描かれるものがたりは、時に胃がきりきりするようなこともあるけれど、熱い思いを持った人たちの頑張りに、じーんとなる。

辻村作品らしい他のシリーズとのつながりも見えるのもいいよなあと思う僕はチヨダ・コーキ好き。
ハケンアニメ!

2015年11月(読了数46冊)

この月は、シリーズものの続編ばかり読んでたみたい。そんな中で一番面白かったのは、米澤さんの「王とサーカス」。いま、単行本はほとんど買ってないんだけど、Bookwalkerのセールだかキャンペーンだかで、安かったので買ったんだと思う。ちなみに今年読んだ本の8割は電子書籍です。

さよなら妖精」はほとんど忘れてましたが、それでぜんぜん問題ない。

海外旅行取材のため向かったネパールで、王族殺害事件に遭遇したジャーナリストのお話。何を、誰に、どのように伝えていくのかといったジャーナリズムについて語られるお話は、奇妙なまでの緊張感がありました。タイトルにあるサーカスの意味が主人公にとって重い。事件を追う主人公の自問し続ける姿が印象的でした。何より最後が胸に痛いというか、苦い。このあたり米澤作品ですよねー。

王とサーカス

2015年12月(読了数36冊)

12月は何があったかなと読了リストを見てたけど、やっぱり印象深いのはシリーズ最終巻である「とある飛空士への誓約 9」。

これは序盤から一気に惹きこまれたなあ。七人だけじゃなく、クレアや空の王たちの決意や覚悟に、胸が熱くなってしょうがない。意地と誇りをもって空をかけて散っていく人たちに涙しながら、それでも最後まで駆け抜けた人たちの姿に感動しました。ハッピーエンドすぎると思ったりしましたが、そんなこといいつつ、よかったと思う僕がいます。

とある飛空士への誓約 9 (ガガガ文庫)

もう一冊は「ウロボロス・レコード1」。なろうで連載してたらしいけど、すごいなこれ。

伯爵家の次男に転生した男のお話なんだけど、「ダークヒーロー」という紹介が大いに違ってるマッドサイエンティストだった。もう二度と死にたくないと思う主人公は、不老不死を目指して錬金術に手を付けて、研究という名の人体実験を続けていくというから、これがひどい。

ただ研究熱心であるが故か、残虐という印象はなく、少しずつの歪みが、気づけば大きな壊れっぷりになっていくという展開に、読む手が止まらない。彼に依存する奴隷との関係も気になるので、続きが楽しみですね。

ウロボロス・レコード1 (ヒーロー文庫)

とまあ、そんな2015年の読書でした。

小説だけでなく、オンノベも結構読んでるんだけど、記録を残してないので、何を読んでるか、あとから追いかけにくいのが困りもの。読書メーター的なものがあればいいのに。