三木遊泳

ゼペットの娘たち(2)

「私、トルネードさんにも負けませんよ!」 「ははは、ハリケーン、僕と張り合うのかい、尻尾もないのにたいした度胸だね、受けて立つよ、いつでも」 ハリケーンの頑張る姿が微笑ましくて仕方ない。それより何より仕事バカのサツキが、もしかしたら……とか思…

ゼペットの娘たち

「ハリケーン、おまえは自分でオーナーを決めて、その人と一緒にいることもできるんだ。それっていいだろ。きっと人権登録して、おまえの気に入る最高のオーナーを見つけような」 「……私が自分でご主人様を決めていいんですか?本当に?」 意思を持つ人形と…

カレイドスコープのむこうがわ

「こういうときって?」 「神田君、なにかあったでしょ?」 井上がストレートにいった。 そのとき僕はどんな顔をしただろう。きっと情けない顔だったに違いない。 制服の腕に井上が触れて、僕たちはまた並んで歩いていく。 「またなにかあったら」 声がやわ…

カレイドスコープのむこうがわ

「やれよ神田。あたしは動ける。おまえに炙り出されて、こいつらも追い詰められてるんだ。今日こそけりをつけてやろう」 にやりと、笑う。 長い髪はぐしゃぐしゃで、スーツも埃だらけなのに、いつもより一層楽しげに笑う。 なんてずるい人だろう。 こんな顔…