松村栄子

風にもまけず粗茶一服

「たしかにあったら便利やけど、なかったかて、人間には知恵ちうもんがあるやろ。不便やなぁと思たここからがあんたの勝負や。ぼけーっとしてたら、ほんま飢え死ぬで。ここを生き抜いてこそ、初めて文明人面できるんちゃうか」 おお、遊馬が成長してる。相変…

雨にもまけず粗茶一服(下)

「俺、よくわかんないんですけど、お茶って何ですか。そんなにすごいもんですか」 「奈彌子さんの幸せより大事なもんですか」 意外なカップルに驚きつつ、比呂希の話に涙した。続編が出るらしいので、今から一日千秋の思いで待つことにする。面白かった! → …

雨にもまけず粗茶一服(上)

「わたしはこう思うのです。お茶を<掬う>ということは<救う>に通じるのではないかと。もちろんおっしゃるとおり、昨夜は思いがけず女性を愛執から救う形になりましたが、それだけではなく、連客の心も何がしの形で解放し救えるものではないかと。少なく…