越後屋鉄舟

クインテット!(4)

「だから絶対最後までついてこいよ。途中でへばったりしても絶対ェ『自分を置いて先に行ってー』みたいな、バトル漫画の終盤にありがちな馬鹿臭い台詞口にすんじゃないぞ。小唄とツバメも同じだぜ。『ここは自分に任せて、みんなは先に行ってー』とか言った…

クインテット!(3)

「確かに初めのうちは、俺にとっても祭りだったよ。毎日毎日クソうるさくて、クソ騒がしくて、いい加減終わってくれねぇかなって思ったりした」 「うん」 「だけど、今は違う。今の俺にとっちゃ、あれが日常なんだ」 面白かった!五人の女の子が傍にいる、賑…

クインテット!2

「あいつは馬鹿だ。どうしようもねぇ馬鹿だ。新婚のときに買ったでっかいダイニングテーブル指差して、これがぎゅうぎゅうになるくらい子作りに励むって誓った話とかガキの時分の俺にしやがるくれぇの馬鹿だ。……そんで離婚して、一人でさびしそうにテーブル…

クインテット! 1

「黙って出歩くのは感心しないな。余韻さん、心配してたぞ」 「う、ん。……ごめんなさい」 小唄は素直に詫びた。 「帰ったらちゃんと自分の口で説明しろ。そんときゃ俺も一緒に叱られてやっから」 「ふふ、言ったね?今の言葉しかと覚えたよ」 「安心しろ。俺…

花守

「それで春嶽、ここからはおまえに関する話になるんだ」 「僕に?」 「ああ、いいかい、よくお聞き」 と、ばあちゃんはなぜだか姉さんの方を気にしながらひどく言いづらそうに頷いた。 「春嶽、おまえはね。いいかい、おまえはね……元々、花守になるためにこ…