憐 Ren 錆びゆくココロと月色のナミダ

五百年後の未来で犯した罪の罰は「過去流し」「孤独の刑」そして「運命の決定と通知」。
「運命の決定と通知」
それは自分の人生の決定された運命のシーンを偽造して、植えつけられた記憶が突然蘇ること。
運命は変えようとしても戻す力が働く。
未来を知ってしまうがゆえに悩む憐の前に未来から訪れた少女が現れる。
「私は『時の意志』の殉教者です」
彼女の口から飛び出した真実。
『時の意志』によって変える事ができる未来。「有用」「不要」の別が無くなる未来。
かつての仲間を思えば、それは何としてもやり遂げたいことだった。
だが、その条件は憐にとって絶望だった。
「鳴瀬玲人を殺しなさい」


自分が感じる幸せ。未来の仲間の苦しみ。
未来の生活によって固執した考え方。現代とは異なり偏った思い。
わかっていても、敢えてその考えを封じてしまうのは、想像したくないからだろうか。
いいねぇ。この物語は。デビューしたてとは思えませんよ。
前作が綺麗に終わっていたため、続編は出て欲しいような欲しく無いような、なんて思っていましたが、読んでみたらやっぱり面白い。
今作は前作と異なり、続く事は確実。
気になる作家としてチェックしていきましょう。


憐 錆びゆくココロと月色のナミダ - 水口敬文


前作の感想: 憐 Ren