ハミザベス

はたちの誕生日を前にして、とくべつ欲しいものはなかったが、父が死に、不動産と
ハムスターを一匹もらうことになった。
私が一歳のころに離婚し、母からは父は死んだと聞かされていたので、突然の出来事
にびっくりしたが、会ったこともない人のプレゼントなどもらうつもりはなかった。
でも、遺言執行人があまりに必死なので、受け取ってしまい・・・・・・。


一行目を読んだ瞬間に、好みの作品だということがわかりました。
いたって普通に生活している話なのに、なぜこんなに面白いのだろう。
読みやすく、テンポよく進む物語。ユーモアあふれる文体。
これで好きにならない僕じゃない。あっという間に引き込まれました。
これほど、するっと入り込み、するっと抜け出す物語はなかなかない。
かなりオススメです。
第二十六回すばる文学賞受賞作「ハミザベス」を含む二編からなる短編集。


ハミザベス - 栗田有起