おもいでエマノン

ちょっとした出来事で感傷的になり、出かけた旅行。
その船旅の最中、エマノンと名乗るその女性に出会った。
ちょっとした話の展開から、エマノンは自分にまつわる不思議な話を始めた。
「私は地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶しているのよ」
そんなエマノンが関わる物語の短編集。


表題作「おもいでエマノン」は完全に独立している感じで、その完成度はとても高い。
総ての記憶を持つもの。
それははたして悲しいことなのか。さびしいことなのか。それとも……。


数時間一緒にいても、数十年間遺書にいても同じことなのよ
その時の長さを想像するのは難しいのかもしれない。


母から受け継いだもの。祖母から受け継いだもの。それは地球の思い出たち。
素敵な素敵な物語です。


おもいでエマノン - 梶尾真治