平井骸惚此中ニ有リ 其貮

平井家一家が避暑と称しその地を訪れた理由。
それは編集者である香月の知り合いの子爵の元へ届けられた手紙が発端だった。

私は命を狙はれてゐる

避暑地として訪れる場所は日下家の当主が療養する場。
折りしもその日は当主の兄弟全員がそろっていた。子爵の名を継ごうと躍起になっている兄弟が。
やがて起きる当主の死。
それはこの館で起こる出来事の始まりにすぎなかった……。


事件の謎を解くために周りをかき回す探偵のようなことはしない。
事件に関わらねばならぬ場合でも、その姿勢を可能な限り貫く姿はかなり好印象。
そして平井家+居候を取り巻く雰囲気。
行動力の人間、頭脳力の人間、それぞれが助け合い、励ましあう姿は最高です。
かなり好感の持てる大正ミステリィ。お気に入りのシリーズとして追いかけます。


平井骸惚此中ニ有リ 其貮 - 田代裕彦


前作の感想: 平井骸惚此中ニ有リ