ベクフットの虜 クレギオン 7

両親には安全な仕事をしていると連絡しておきながら、危険が絶えないミリガン運送。
だがついに、自分たちがやっている仕事がどれほど危険なものであるかがバレてしまった。
母親からのメールを読んだとき、メイは硬直した。
「すぐ家に帰りなさい」
同時に父親からもメールが届いていた。
「いきなり辞めるということもできないだろうから、おまえの仕事ぶりを見ようということになった」
何としても親の目をごまかさねば。
だが、両親に会うまでに片付けなければならない仕事で、
大いなるトラブルに巻き込まれたミリガン運送は……。


壮大な宇宙の中で、アットホームな雰囲気を保ちながら送る冒険。
ちょっとした騒動はいつだってロイドが持ってくる仕事。
+ 今回は心配するメイの両親がくるという騒動。
どんなときだって、突然の親の訪問は恐怖でしょう。


最も印象的だったのは、メイの言葉で締めくくられたラスト。


前途に横たわる、この途方もない未知。
行けるところまで行ってみたい。
だから、とても十年は待てない。
まだ若いんだから。十年後でも遅くない。
そんな言葉で意思を封じられたとき、こう思えるほどの衝動を自分は持ちえただろうか。
とても考えさせられた。


ちなみに、クレギオンシリーズは現在のところ、この 7巻を持って終了している。
あとがきによると、完結宣言は出していないものの、続編が書けるかどうかはわからないとのこと。
こんな素敵な物語をここで終わらすなんてもったいない。何らかの形で出してほしいと切に願う。
萌えて燃えるハード SF のクレギオンシリーズ第7巻。


ベクフットの虜 クレギオン 7 - 野尻抱介


前作の感想: アフナスの貴石 クレギオン 6