カラフル

「おめでとうございます、抽選にあたりました!」
とうやら死んだらしいぼくに向かってその天使はいった。
ぼくは大きなあやまちを犯して死んだ。通常なら輪廻のサイクルから外れることになるけれど、抽選であたったがゆえに再挑戦の権利を得たらしい。
前世の記憶を持たないまま、適当な体に入り込み(ホームステイという)、修行をする。
ある時点で前世の記憶を取り戻すことができたらホームステイは終了し、輪廻のサイクルに戻れるらしい。
めんどうなことは嫌だといったけれど、天使のプラプラはきいてくれなかった。
そしてぼくは小林真になった……。


自殺した小林真の体を借りて生きる「ぼく」。
普通の家庭かと思いきや、父親、母親、兄、ともに暗い一面をもつことが
過去の「小林真」の記録から明かされる。
親に求める潔癖さ。小さな恋と呼べるかもしれない感情。
中学生として生きていく中での葛藤。高校受験について。
あのころ、自分が中学生のころに読んだらどんな印象を持つのだろうか。
過去に戻って聞いてみたい気がする。
カラフルな日常が、軽い内容で軽いテンポで進む物語。


カラフル - 森絵都