F エフ

ちょっとしたことで起きた仲違い。だが惨劇は起きた。
自分を殺した先輩が目の前にいる。
霊体となってしまった篠原は、自分は何をすべきか決断した。


霊の仕業であることはわかっている。ならば何とかしたい。
さらに友人が狙われることになったとき、憎き相手も協力を申し出て……。


死ににくい才能と生き残る才能の組み合わせで死ねなかった少女。
関わる人がみな死んでいく。死神となってしまった少女。
綺麗なものはそのままの状態で保存しておきたい。影牢を操る少年。
生きていた。だが、霊体で活動をする少年。


それぞれが己に忠実な者たち。巻き込まれるのは、同じく異能の才を持つもの。


我が主に死の概念は通用しない。不死概念 − おそらくこの世界でも一つだけの例外的な才能だ。どんな手段を用いようが絶対に殺せない
人外魔術師を配下に持ち、死ねないが故に死に敏感なサヤ。


誰かが死んだら悲しまなきゃいけないのかな?
人に対する関心がない。故に死に対しても関心を持たない。
たとえ自分の死でもそれを死を理解しないユルリ。


そんなふたりが巻き込まれる不条理な事件。


いびつで、異常で、何が正しくて何が間違っているのか。
異なる価値観。異なる才能がぶつかり合う。
「シャープ・エッジ」の時も思ったけど、この人はかっこいい人を書くのがうまいな。
ぎりぎりの見極めがうまい。
ハードボイルドな文章で語られる物語は、ページ数以上のボリュームを感じる。
雰囲気は抜群。
Freak な者たちが紡ぐ「F」reak な物語。


F エフ - 坂入慎一