彩雲国物語 心は藍よりも深く

茶州の小さな村を襲う病。それはかつて影月の育った村を全滅させたもの。
いち早く危険に気づいた影月は、あらゆる対処方法を示した上で単身その地へ向かった。自らの命の短さを知りながら。
「とうの昔に尽きるはずだった僕の魂を、陽月は繋いでくれました」
そして語られる影月の過去。


一方、茶州の発展のために都を訪問していた秀麗。
そこへ入ってきた影月からの知らせ。事態の大きさは明白
秀麗は覚悟を決めた……。


香鈴の想いに気づきながら応えなかった、応えられなかった影月。
その理由が明らかになる。
それより何より今回は秀麗の奮闘がすごい。


「こんなときに使える権力使わなくてどうするんですか。私の州牧位が人の命と引き換えになるなんて上等じゃないですか!」


未熟ながらあらゆる手段を用いた交渉。
まだ若い、しかも官吏になったばかりの女性の覚悟と決断に動かされるものたち。


「私たち官吏が、守るべきものはですか?」


思わず涙ぐむほどの感動するシーンでした。
周りで見守っている者たちの気持ちもたぶん同じでしょう。


そして物語はものすごく中途半端なところで終わる。山場二歩手前ぐらい。
次作でこの「影月編」が終わるとのことなので、今から一日千秋の思いで待ちましょう。


彩雲国物語 心は藍よりも深く - 雪乃 紗衣


前作の感想: 彩雲国物語 欠けゆく白銀の砂時計