ブルースカイ

1627年のドイツ。
生まれてから十年。わたしはおばあちゃんとふたりで町外れの家に住んでいた。
水車を回し、巨大な臼を引く 粉引き屋。それがわたしたちの仕事。
余所ものに冷たいその街だが、協会にはとても綺麗な人がいた。
声をかけられたことがとても嬉しかったので、家まで連れてきたとき、おばあちゃんは言った。
「あぁ、害悪がやってきてしまった!」
何者でもない。ただの善良な娘。ただ、害悪の芽となる美しさを持つ娘。


やがて町に忍び寄る不吉な影。とある修道士が死刑となったとき、その男が現れた。
「われらは皇帝より遣わされた、正式な魔女派遣委員である!」
空が暗雲に覆われ始めた……。


出だしから一気に引き込まれました。
何があるというわけでもないのにここまで魅力を感じるのは物語に漂う雰囲気か。
魔女狩りの風が吹く第一部。
絶滅したはずの"少女"と出遭う第二部。
青い空がすべてを覆う第三部。


それぞれがリンクして紡がれる物語は傑作と呼ばれるにふさわしい。
間違いなく、現時点での桜庭一樹作品のトップを飾る作品。
オススメです。


ブルースカイ - 桜庭 一樹