桜庭一樹

GOSICK 8(下) 神々の黄昏

「……いつかまた、か」 ブライアンが弱々しくくりかえした。 「それって、いい言葉だな」 「そうかね?」 「そりゃ、そうさ。未来がおまえを呼ぶ声だろ……」 母なる人の思いを受けて、苦しみながらも、九城という希望に向けて歩むヴィクトリカの姿に、じんわり…

GOSICK(8)(上) 神々の黄昏

「それより、君のほうこそ、ぼくをちゃんとみつけられるかなぁ?」 「……わたしは必ず君をみつけるとも。たとえ世界の果てと果てにはぐれてもだ」 ああ、もう、本当に、ふたりの思いが、これ以上ないほど伝わってきて、たまらなかった。「大切な君」の温もり…

GOSICKs(4) 冬のサクリファイス

「わたしは、久城、君といつまでもこうして退屈と遊んでいたかったのだがなぁ」 かつて起きた事件の裏側を描きつつ、ああ、終わりが近付いているんだなということが、ひしひしと伝わってくる短編集。この地を離れる人たちと、離れることができないヴィクトリ…

ばらばら死体の夜

「……閉ざされた庭、って意味なんだってさ。パラダイスって。パラダイスって聞くと、つい酒池肉林とか金ピカのエル・ドラドとか夢が何でも叶う場所のことかと考えちゃうけど」 (略) 「でも、もともとの語源は、閉ざされた、庭……ちいさくって、なんにもなく…

GOSICK 7 薔薇色の人生

「お化けより、超常現象よりもっと怖いのは、現実の世界で、大切な人を永遠に失うことよ」 これはとても面白かった。これまでと同じようなヴィクトリカの可愛さと明晰な頭脳を描きながら、よりエンターテインメントしていました。しかも、どんなトリックを使…

伏 贋作・里見八犬伝

「なぜだか、世の中ってものが憎くて憎くてたまらんぇのよ。気づけばいつも心に雨あられがざーざー降っててよぅ。苦しくて、悔しくて、誰のこともどうでもよくってよ。それでも相変わらず、誰かに優しい手をさしのべてほしくってたまらねぇ。それでよくかっ…

道徳という名の少年

「愛してるわ!ずっと昔から……。子供の頃から、愛してたわ!」 町一番の美女が産み落とした子から始まる不道徳と道徳の物語。父親なし、姉弟、夫の父など、不道徳な思いに揺れる人たちのお話が、連作短編で描かれます。淫靡で匂い立つものがあるのに、どこか…

製鉄天使

「そんでもって、生きることは、走ることサ。だろ、天使チャン達?あたしら暴走女愚連隊はよぉ、走ることでしか命の花、燃やせねぇ。そんならいっしょに走るだけだ。走って、走って、そんでもっていつの日か、みんなしてたどり着くのヨ。……えいえんお国って…

私の男

「その光ってるのが、わたし。わたしという女そのもの。血の、人形よ。ねぇ、おとうさん、忘れないでね」 「なにをだよ?」 「愛しあっていたこと」 やるせない切なさで、胸がいっぱいになるお話でした。→ 感想

青年のための読書クラブ

「きよ子、ぼくは開けるぞ」 「……だめだ」 「汚れた空で困ってるやつ等を、見殺しにできるか。権力を求めたからといって、悪人だとも愚かだとも、ぼくは思わん。助けてやろう」 「そういうところが君の欠点だよ、時雨。君はいまに痛い目にあう」 「かまわん…

GOSICKsⅢ ゴシックエス・秋の花の思い出

「なんだ?なにを笑ったのだ、すかすか南瓜?」 「いやぁ、なんでもないよ」 「なんだ。失敬な」 おこっているヴィクトリカのほっぺたを、人差し指の先っちょでつん、とつついてみる。ヴィクトリカはうるさそうにその指をひっぱたいた。べしっ、といい音がし…

赤朽葉家の伝説

「どうしたの」 「鞄、青春がいつ終わるか、わたしわかったヨ」 「いつなのよ」 「……取り返しのつかない別れがあったときさ」 すばらしい物語でした。サイン会には、なんとしてもいかねば。→ 感想

少女七竈と七人の可愛そうな大人

「この生き方、娘にゆるされなかったら、ざまぁないわ」 「……わたしに理解してほしいのですか」 「いいえ。そうね、きっと、尊敬してほしいのね。異なる生き方をするわたしを。誰よりも、血を分けた娘に」 「それは無理な相談です」 「時が解決するわ。ゆっ…

GOSICK Ⅵ ゴシック・仮面舞踏会の夜

「震えないで。大丈夫、ぼくがいる。この危機を、二人でぜったいに乗り越える。それで、また一緒に聖マルグリット学園に帰るんだ。約束だ、ヴィクトリカ」 「む……」 「二人で、もう一回やろう。今度は失敗しない」 ヴィクトリカかわいいよヴィクトリカ → 感想

GOSICKsⅡ ゴシックエス・夏から遠ざかる列車

「えっと、その……」 「なんだね?」 ヴィクトリカは表情の浮かぶことのない、透き通って冷酷めいたエメラルドグリーンの瞳をけぶらせて、こちらを見下ろしていた。一弥は少し戸惑って、 「今日から夏休みなんだよ、ヴィクトリカ。えっと、君は、その……」 「…

Sweet Blue Age

「潜水艦乗りからすると世間の人って二種類に分かれるんだよね。潜水艦が『潜る』って言う人と『沈む』って言う人。素人さんは半々くらいの確率で『沈む』って言うんだけど、君は違うんだなって」 「え、だって」 付け足された説明で更に訳がわからない。 「…

荒野の恋 第二部 bump of love

成長したく、成長したくない思春期よ → 感想

GOSICKⅤ ―ベルゼブブの頭蓋―

107ページのイラストは見逃せない 感想: http://www.booklines.net/archives/4829163283.php

ブルースカイ

1627年のドイツ。 生まれてから十年。わたしはおばあちゃんとふたりで町外れの家に住んでいた。 水車を回し、巨大な臼を引く 粉引き屋。それがわたしたちの仕事。 余所ものに冷たいその街だが、協会にはとても綺麗な人がいた。 声をかけられたことがとても嬉…

少女には向かない職業

中学二年生の一年間で、あたしは人をふたり殺した。 夏休みにひとり。冬休みにもうひとり。 少女の魂は殺人に向かない。 だけどあの夏、あたしの近くにいたのは、あいつだけ。 宮乃下静香 −さつじんしゃ − だけだったから……。少しずつ引き込まれる悪意。いつ…

GOSICKs -ゴシックエス・春来たる死神-

規則正しい生活をしている久城。 その日の朝もいつもどおりに起きたら寮のおばさんに買い物を頼まれた。 しかたなしに出かけた先で出会ったのは、首が取れた死体だった。 第一発見者であるがゆえに疑われる久城。 そんな彼の無実を思い、教師であるセシルは…

荒野の恋 第一部 catch the tail

初めて袖を通したセーラ服。今日から電車に乗って私立の中学へ通う荒野。 ちょっとしたアクシデントから知り合った神無月悠也。 後にクラスメートであることがわかったものの、彼の視線は冷たい。 自分が何をしたのだろう? なぜ彼のことが気になるのであろ…

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

実弾がほしい。自分で生活できる力。本物の力。 早く学校を卒業して働くんだ。 そんな毎日を過ごしていた山田の学校に、有名人の娘が転校してきた。 その娘は自己紹介でとっぴなことを言う。 「僕は人魚なんです」 そんなつまらない嘘を突き続ける少女。それ…

GOSICK Ⅳ [amazon]

かつて、塔に閉じ込められた状態から金を作り出したことで、女王の信頼を得て、国を裏で操っていた錬金術師がいた。20年後に起きた殺人事件。鍵のかかった塔の中で倒れていた男。その事件の犯人は、もはやこの世にはいないはずの錬金術師だとヴィクトリカは…

GOSICK

シンプルなミステリィ。キャラ重視ではあるけれどおもしろい。