GOSICKsⅡ ゴシックエス・夏から遠ざかる列車

「えっと、その……」
「なんだね?」
ヴィクトリカは表情の浮かぶことのない、透き通って冷酷めいたエメラルドグリーンの瞳をけぶらせて、こちらを見下ろしていた。一弥は少し戸惑って、
「今日から夏休みなんだよ、ヴィクトリカ。えっと、君は、その……」
「わたしはずっと、ここにいるのだ」
ヴィクトリカは抑揚の無い声でそう答えた。
「ずっと……」

九城とヴィクトリカの夏休みを描いた、6編からなる短編集 → 感想