森見登美彦

恋文の技術

俺が恋文を書くと、変態になるか、阿呆になるか、だ。 我が人生には、それ以外の選択肢はないというのか? 笑った、楽しかった!語り手の文通弁慶っぷりにニヤニヤが止まらない。一方の書簡ばかりしか見てないのに、人間関係が見えてくるのは素晴らしいです…

四畳半神話大系

「俺なりの愛だ」 「そんな汚いもん、いりません」 腐れ縁というのを思いっきり実感できる友情もの(?)でした。最後がすっげーにやり。 → 感想

新釈 走れメロス 他四篇

「それだから走っているのだ。芹名はいっさい承知の上だ。彼には俺というものが分かっている。これは信頼しないという形をとった信頼、友情に見えない友情だ」 「そんなのは詭弁だ、そんな友情があるものか」 「あるのだ。そういう友情もあるのだ。型にはめ…

夜は短し歩けよ乙女

幼い頃、彼女は姉からおともだちパンチを伝授された。 「よろしいですか。女たるもの、のべつまくなし鉄拳をふるってはいけません。けれどもこの広い世の中、聖人君子などはほんの一握り、残るは腐れ外道かド阿呆か、そうでなければ腐れ外道でありかつド阿呆…

太陽の塔

禁欲的生活。 この言葉を聞いて、まず思い浮かぶのは、かつての僧坊であるが、そんな彼らも禁欲的生活を維持するためにさまざまな手を弄した。ためしに手を弄することを止めてみれば、とたんに世界は輝きに満ち、あまりに眩しすぎてそれはもはや正視に堪えず…

Sweet Blue Age

「潜水艦乗りからすると世間の人って二種類に分かれるんだよね。潜水艦が『潜る』って言う人と『沈む』って言う人。素人さんは半々くらいの確率で『沈む』って言うんだけど、君は違うんだなって」 「え、だって」 付け足された説明で更に訳がわからない。 「…