星のバベル

政府とゲリラ軍の間にようやく和平調印がもたらされようとしていたメソネシア共和国。
功労者として誰もがその名をあげる高遠はただの言語研究者だった。その島を訪れるまでは。
そこで巻き込まれた騒乱の時ももうすぐ終わる。
そう思っていた矢先に起こった友人の異変。
ありえないほどに変わり果てた死体を発見したのは高遠だった。
そこから起こる島の変異。凶暴な黒い獣。半身に刺青を入れた少女。
いったい島に何が起こり始めたのか。
島はどうなってしまうのか……。


上下巻という長さをものともしないスピード感と細部まで考え込まれた設定。
情熱をかけた者たちの戦い。
自らが力を尽くしたものが崩れていくのを止めない人がいるだろうか。
それは正義といったものではない。


なぜなら俺たちは判っているからだ……このまま何もしなければ、寝つきが悪くなることに。

そう。それだけの理由でもぼくらは動くだろう。


魅力的なまでにテンポよく進む物語と語り口。挿話のひとつひとつがたまらない!
そして衝撃を受ける展開とラスト。
これで魅了されなかったら何に魅了されればいいんだ?


同著者の「サマー/タイム/トラベラー」もそうだったけど、これほどまでに引き込まれるとは!
買いの作家であることは間違いない。
傑作です。


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