火目の巫女 巻ノ二

「……どうして」
雨と注ぐ火の粉の中に立つ紅白の装束が、弓を握りしめた手が、賢しげな猫にも似たその瞳が、顔が、にじんで歪む。
「……どうして、あなたは」
言葉にならなくなった感情が火目式からあふれ出た。
― どうして、わたくしの声を聴いてしまうのか。
― どうして、助けに来てしまうのか。

登場人物それぞれの苦悩と成長を見事に描いた作品 → 感想