半分の月がのぼる空7

明日があって、明後日があって、そうして当たり前のようにあたしは未来を信じている。誰だって、そうなのだろう。世界のあやふやさに怯えているくせに、どこかで甘えてしまってもいる。そしておそらく、そのほうが暮らしやすいのだ。下手に考えて足をとめてしまうより、何も考えずに歩いているほうが遠くまで行ける。けれど、そうできない運命を背負った人間だっているのだ。明日も明後日も、それどころか今日さえも信じられない。ただ、今を生きるしかない。それはいったいどういうものなのだろう。覚悟なのか、諦めなのか。

ほっとする日常なシリーズ初の短編集 → 感想