2006-07-20 聖遺の天使 book 三雲岳斗 「そう思うと、政というのはむなしいものだな」 「なぜそう思うのだ」 「貴様にはわかっているのだろう。この湖が生まれるまでの歳月を思えば、国家の寿命など儚いものだ。あれほどの権勢を誇った東ローマ帝国も、今や歴史に名をとどめているだけではないか」 「めずらしく卑屈だな」 からかうような口調で、レオナルドが言った。その瞳は、優しげに細められている。 「悲観するのはきみの勝手だが、忘れないことだ。たとえきみが死んで公国が滅ぶことがあったとしても、ぼくが残す作品が、きみの治世を永劫の未来に伝えるだろうということをな」 あのダ・ヴィンチが探偵に! → 感想