2006-10-31 レインレイン・ボウ book 加納朋子 「片桐陶子だけど、覚えてるかな……」 電話での開口一番、相手はまずそう名乗った。 「もちろんよ」 大急ぎで美久は答えた。もちろん、陶子のことはよく覚えている。高校時代に在籍していたソフトボール部のキャプテンでピッチャーだった。 「チーズが死んだわ」 憧れていたといってもいい彼女の口から出た言葉に、美久を取り巻いていた明るく平和な光景が、ぱっと反転したような気がした。 見事な連作長編ミステリー → 感想