レインレイン・ボウ

「片桐陶子だけど、覚えてるかな……」
電話での開口一番、相手はまずそう名乗った。
「もちろんよ」
大急ぎで美久は答えた。もちろん、陶子のことはよく覚えている。高校時代に在籍していたソフトボール部のキャプテンでピッチャーだった。
「チーズが死んだわ」
憧れていたといってもいい彼女の口から出た言葉に、美久を取り巻いていた明るく平和な光景が、ぱっと反転したような気がした。

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