思い出はいつまでも カイルロッドの苦難 9

「そうか……。俺も恐ぇよ」
「……イルダーナフでも?」
「ああ、恐ぇ。だからな、どっかへ逃げちまいたい気もするんだが、そうなると寝覚めが良くねぇ。で、仕方なく踏み止まっているわけよ。何事もそんなもんさ。俺なんざ、その調子で三十年だぜ」
自虐とおどけの混じった表情で片目をつぶり、
「なぁ、誰かのためになんて気負うことぁねぇんだよ。気楽にいこうや、気楽によ。心構えなんていらねぇ。てめぇにできること以上をしようなんて、そんなこたぁしなくていいんだ。どう無理したところで所詮、てめぇはてめぇにできる限りのことしかできねぇんだからよ」

大満足なシリーズでした。→ 感想