第一部「湊かなえ先生インタビュー」

インフルの地からやってきたけど、みんなに引かれないで良かった、と挨拶をした後で、インタビュースタート。

  • 小説の構成の作り方は、何かをしてる時に思いつくのではなく、今から小説を書くぞ、という感じで考える頭になって書いていて、たとえば、ミステリーを書くと決めたら、ミステリーで思いつく言葉を、チラシの裏に書いていく。殺人とか密室とか、20個ぐらい。それを眺めて、どれでいけるかなーと考えるのだとか。「聖職者」(告白の第一章)も、殺人、被害者、加害者、復讐、三角関係とかを書いつらねて、私だったら何が書けるかな。復讐だったらいけるかな。どんな場合だったら、復讐したいと思うかな。どうやればできるかな。そんな感じで書いて作ったとか。
  • 小説の賞に応募する前は、川柳を作ったりしていたそうです。公募ガイドを買ってきて送って、最優秀をもらったこともあるとか。
    そのうちシナリオを作ったりして、賞をもらうようになったそうです。ただ、お仕事にはならなかったとか。佳作を取った時に授賞式のようなものがあり、他の受賞者はお仕事の話があったので、自分にも何かお仕事がもらえるかなと思ったら、都内の人じゃないと急な直しに対応できないからということで、お仕事をもらえなくて、悔しい思いをしたそうです。
  • ならば地方にいても出来る仕事をと思って小説を書いたのがきっかけ。小説推理新人賞(だっけか?)を受賞した時、選考の石田衣良さんに、これは連作してみたらいいかもと言われて、完全に完結していた「聖職者」だったけど、一冊の本にするために、ああいう形で連作してみたらしい。
  • (モノローグを続ける形にしたのはいつから考えていたのか) 小説と脚本は同時進行していたので、脚本と違う形を作りたかった。脚本だと会話は、短くテンポ良く作らねばならなくて、じゃあ逆に長々としゃべるのはどうだろう?教師の告白の形で、生徒を追い詰めるにはどこがいいか。やっぱり同級生の前かな。じわじわとやっていくには……といった感じで、語り手の気持ちが一番表せるのは、モノローグかなと。
  • 「聖職者」は完全に完結していたので、連作にしようとは思ったけど、最終形は全然見えていなかった。次に読者は何を読みたいかなと考えて、あのあとのクラスがどうなったかっていうのは気になるんじゃないかしら。その次はあの家のことが気になるんじゃないかしらと、一章書いては、次の章を考えて作った。
  • 昔から妄想をすることが多かった。好きなドラマを見ている時、自分もそこにいたいけど、中心人物ではなく、たとえば主人公たちが通うラーメン屋でバイトするとか、そのくらいの位置から眺めるような、そんな感じ。勉強の時も、歴史の資料集とか読むと妄想。たとえば、赤穂四十七士の血判。誰が首謀者か判らないように円を描いて血判したというけれど、もし自分がメンバーだったら、どの位置に血判を押すかってことで、1時間ぐらい妄想したこともある。
  • 受賞後は大変だった。近所に「告白」みたいなお話を書いてる人がいたらいやだろうなあ、と思ったので黙ってたんですが、テレビで気づかれた。
  • ミステリのお気に入り作品は、島田荘司暗闇坂の人喰いの木。出身地が近いこともあって、書店でフェアをやっていることが、多く手に取る機会があった。この作品は題名で引かれて、わたしの本にしようと。
  • ミステリ意外だと、書評で面白そうな本が紹介されていたら手に取る感じ。自分のバイブルは、林真理さんの「葡萄が目にしみる
  • 作家として実感したことはまだない。ただ、本屋で積まれていた本が減っていくのを見て、ああ、作家として名乗っても良いのかなと思うようにはなってきた。
  • 6月に東京創元社から「贖罪」が出る。

とにかくお話を考えるのがお好きなようで、自分のお話についても、「次の章を、読者の方に考えていただければ」なんて言ってました。
個人的に告白は大絶賛オススメなので、ぜひぜひぜひ。
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