朱唇

「そなたは、誇り高いのだな」
「妓女風情に、誇りなどはございません」
それもきっぱりと言い切って、女はにこりと笑った。
「ただ、女はだれでも、殿方にとって一番の女でいたいだけですわ。たとえ賤しい妓女でも」

妓女の恋と矜恃を描いた短編集。これはほんといいです。どんな美しくもてはやされても、身を売る以上、堪えきれないことは多々あり、寄り添うことすらできない悲しい結末を迎えることもある。でも、誇り高く前を向き、時に気持ちよく人を騙す様には、拍手したくなる。ああ、もっと読みたかった……。→ 感想