2010-05-10 朱唇 book ☆☆☆☆ 井上祐美子 「そなたは、誇り高いのだな」 「妓女風情に、誇りなどはございません」 それもきっぱりと言い切って、女はにこりと笑った。 「ただ、女はだれでも、殿方にとって一番の女でいたいだけですわ。たとえ賤しい妓女でも」 妓女の恋と矜恃を描いた短編集。これはほんといいです。どんな美しくもてはやされても、身を売る以上、堪えきれないことは多々あり、寄り添うことすらできない悲しい結末を迎えることもある。でも、誇り高く前を向き、時に気持ちよく人を騙す様には、拍手したくなる。ああ、もっと読みたかった……。→ 感想