インク工房に行ってきた
先日の日曜日、インクブレンダーの石丸さんによるインク工房のイベントがあるということで、銀座の伊東屋へ行ってきました。
きっかけは、広島の文学少女・ななきさんの上京。どうもななきさんの行き先が、僕の彼女の行き先と重なってたらしく、一緒にいきましょうということになり、僕がついていったということですね。
万年筆とか手帳に興味を持ち始めたのがつい最近ということもあり、オリジナルの色を作ってもらうほどでは……と思っていたけれど、実際に作っているところを見てしまったら、これはおヤバい。「こんな感じの色が欲しい」といったら、さっとブレンドして素敵な色を作り上げてくれるんだから、もう!僕の前にいた人が作ってもらってたインクの色はとても素敵で、どうしてくれよう。
ちなみに、あんな色がいいなこんな色もいいなと悩んで、きゃーきゃ言ってた二人は、「色が決まらないので、でるたさん先にやってください」って、時間稼ぎに人を使ってくださいやがりました。
前の人が作ってもらってた色がよかったなーと言ったら、「マネはダメですからね」と釘を指されたので、始めに思っていた色を作ってもらう。いわゆるワインレッドな赤。
とても漠然としていたので、どんな感じのワインレッドでしょう?と聞かれて、Dkカラーとか言ってもなあと、うーんと悩んでたら、何点か見本を見せてくれて、これがまた素敵なんだ。オリジナルブレンドなんだけど、鯨が酔ったらこんな感じなんじゃないかという鯨酔赤(名前はうろ覚えです。違ってたらごめんなさい)とか、あるお客さんの話を聞いて作ったメリージェンとか。
このメリージェンが好みドンピシャで、ぜひ!ってお願いしてもらった。「えー、ちょっとは手を加えようよー」という外野の声は、聞こえなかった。
僕らのやり取りを聞いていた石丸さんは、ニコニコしながら、決めたから言うわけじゃないですがと断りつつ「思ったとおりの色だったら、付け足したりしないほうが、たいていいい結果になりますよ」とおっしゃってました。
ここというところで止められるのがプロで、もうちょっと手を加えたらもっとよくなるんじゃないかと手を加えていくうちに、質を落としてしまうのがアマチュアであると、師匠に言われたとか何とか(うろ覚え)。うん、僕は間違っていなかったよ。
ちなみに、ブレンドしてもらった色は、名前をつけることが出来ます。名前と製造番号を伝えれば、何度でも作ってもらうことが可能なんですね。僕の場合は、メリージェンで作ってもらったから、わざわざ考えるのもなあとそのままにしましたが、あとの二人はね……
どんな色にしようか迷っている上に、名前まで考えなきゃいけないとか、あーうーってうなってた。すんごい中二っぽい名前は、ぽんぽん出て着てたけど、それイメージと違うよねと思っていたのは内緒である。
すごいなと思ったのは、相手のイメージにある色を作り上げることだけでなく、その色に対する的確な言葉を持ってきてくれること。彼女が、出来上がったインクの色を見て、名前何にしようかなーと悩んでいたとき、「これはどういったイメージで?」と話を振って、これこれこういうときに見た景色なんです、と言ったら、「日本語には、それにぴったりな言葉があるんですよ」。
格好良かった。
それにしても、日本語ってのは素敵だな。
三人の中で一番悩んだのは、ななきさんでしたが、ま、これはご本人がそのうちブログに書いてくれることでしょう。楽しみにしてる。ななきさんの作った色は、僕も欲しいので、今度作ってもらうか分けてもらうかしたいなー。
そんな楽しいひと時でした。
もう一本、万年筆買おうかな。