2014年3月3日の日記

今朝気づいたけど、腕時計の日付が31になってた。竜頭くるくる。

先日の土曜日、第150回記念「芥川賞&直木賞」FESTIVALのプログラムのひとつ、宮部みゆき×桜庭一樹×北村 薫 「ビブリオバトル直木賞受賞作、私のこの“一冊”」を見に行ってきました。

ビブリオバトルと言うのは、それぞれが一冊の本を五分の間で紹介していき、それを聞いた観客が一番面白そう(読んでみたい)と思う本に投票して、一番を決めると言うもの。「人を通して本を知る、本を通して人を知る」とか司会者が言ってた。
ちなみに椅子席には入れなかったので、吹き抜けのフロアの三階から見てました。ぜんぜん聞こえる、大丈夫。

その場でメモしたことを、適当に補完して書いているので、間違ってるところもあると思いますが、簡単にまとめると、

  • 北村薫
    • 川口松太郎「鶴八鶴次郎」(第1回直木賞受賞作)
    • 鶴八という女性と鶴次郎という新内のコンビ。ギターとボーカルみたいな関係の二人は、幼馴染で仲がいいけど、口喧嘩ばかり
    • やがて喧嘩別れして、鶴八が結婚。鶴次郎は次第に落ちぶれていく
    • でも、このまま埋もれていくのはもったいないからと、名人会で復活させようという動きがあり、期間限定ならと鶴八も引き受けた
    • 素晴らしい三味線を披露し、もう一度コンビをと思うようになった鶴八に対して、鶴次郎はヘタだと言い出して、また喧嘩に。
    • 「別れることはつらいけどしかたないんだ君のため」という鶴次郎の想いがとても日本的な感傷で、こういったのは海外にはない
    • と思ったけど、カサブランカはどうなんだろうか
    • 福田善之先生(この漢字であってるか不明)曰く、川口松太郎の作品には、ボレロを下敷きにした物語もある
    • いかにも日本的と言われる物語であっても、型の中のものである
    • すっごいまとまっていて、興味を惹かれる語りでした。
  • 桜庭一樹
    • 車谷長吉赤目四十八瀧心中未遂」(第119回直木賞受賞作)
    • 「リハで5分を超えてしまったので、早口で」とおっしゃられていた通り、やや早口かつずらーっと話されたので、メモる暇なかった
    • キーワードとしては、「ダークファンタジー」「異界」「異世界ではなく、世にも奇妙な物語のような感じ」
    • 宮部みゆきさんが「ダークファンタジー」と言われて、ああそういう捉え方もあるんだ、みたいなことをおっしゃってた
  • 宮部みゆき
    • 姫野カオルコ「昭和の犬」(第150回直木賞受賞作)
    • 作品の内容については、多くを語らなかったけれど、「読者」として良かったんだなあというのが伝わってくる語りでした
    • 選考委員やってるけど、この作品は満場一致でした
    • 同時受賞の「恋歌」はタイトルから内容が想像つくけど、「昭和の犬」はよくわからない
    • 内容を紹介するのが難しく、とても抽象的になるけれど、良かったとだれもが言う。
    • 選考委員の誰も書けないと東野圭吾さんがおっしゃってた
    • 感情移入して読書する私は、大声で泣いた。二度も
    • 必ず再読したくなる
  • 投票で選ばれたのは、宮部みゆきさんが紹介した姫野カオルコ「昭和の犬」

という感じ。

質疑応答では、「直木賞作品の中で、1番ではなく2番目に選ぶとしたら」というちょっと意地悪なものもあったけど、それについてはちょっとかわした感じで、自分が一番最初に直木賞を意識したのは、どの作品かという形で答えられてました。北村薫さんは「総会屋錦城」、宮部みゆきさんは、「青島幸雄さん(ってことなんで、人間万事塞翁が丙午)」、桜庭一樹さんは「山田詠美さん(ってことなので、ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー)」
なんとなくだけど、桜庭一樹さんのファンが多かったように思うのは、質疑応答で、桜庭さんへ質問する人が多かったからかな。

最後に直木賞について

  • 桜庭一樹
    • これまで何作家と言いづらい作家だったので、直木賞という名がついてくれて、多くの読者がついてくれた
  • 宮部みゆき
    • 受賞した年が、ノストラダムスの大予言のとき。やっと受賞したのに恐怖の大王が……と思ってた。いまだにそのことを結びつけてしまう
  • 北村薫
    • ご飯を食べながら本を読んだりするような本好きとして、直木賞芥川賞は、読者の指針になっている

僕が一番面白そうだと思ったのは、北村薫さんが紹介した「鶴八鶴次郎」でした。気になったので、その場でAmazon検索したけど、古本でプレミア状態……直木賞作品は、どっかで読めるようにしてくれませんかね。