どうして？ なぜ？ よりによってレンツオを好きになってしまったのだろう？ 恋をしたって、決して報われない相手なのに。 出会って数日、そして後数日でもう会うこともない人なのに。 なんとベタなハーレクイーンロマンス！だが、それがいい。 → 感想

いっしょにいて。 喉元まで出かけた言葉を飲み下し、ルティアナは微笑んだ。 そこで一瞬、二人の視線が絡み合い。見つめ合う。 草の上に大の字に広げた、彼の腕までもう少し。 あと少し。 手を伸ばせば触れられる距離なのに、それができないのが切なかった。…

けれルティアナとの旅は楽しく、笑うことも多くなっていることを今さらながら気付く。 「……やばいな」 彼女に心惹かれている。その気持ちを認めたくなくて、グレイは呟く。 相手はよりにもよって伝説の聖女の血を継ぐ、正統な王族だ。一介の傭兵である自分と…

「おまえはこの街の人間ではない。ただの通りすがりだろう。なぜそこまでこの街の人間に加担する？」 「……私は今、事情があって自分の居場所を離れてる。でもきっといつか戻りたい。自分たちの住むところをよくしたいって気持ちはみんなの望みだと思うから………