光原百合

時計を忘れて森へ行こう

「翠さん、ゆうゆう倶楽部での弥生さんのこと、覚えている限り話してくれませんか」 わたしは護さんを見上げた。首が疑問符の形に傾くのが自分でわかる。 「細かいことでいいんです。夜キャビンで話したこと、散歩中におしゃべりしたこと、何でもいいから、…

最後の願い

今年の個人的ベスト 3 入り! 感想: http://www.booklines.net/archives/4334924522.php

十八の夏

浪人生活が始まった春。宙ぶらりんな毎日が突然変わったのはその女性を見かけてからだった。 河原で絵を描いている女性の姿は、それ自体が絵のようだった。 そんな彼女とひょんなことから知り合い、家を訪問する機会を得たぼく。 恐ろしいほど粗末なアパート…