榎田ユウリ

宮廷神官物語 渇きの王都は雨を待つ

「一緒に考えてゆこう」 頭を下げない天青を叱ることなく、鶏冠は言った。 「ひとりではできぬことも、仲間がいれば可能となるのだ」 二人でいるときの雰囲気がほんといいです。でも、そろそろ謀略ものが読みたいかなー、なんて思ったり。→ 感想

宮廷神官物語 少年は学舎を翔ける

「孤独には、なりませぬ」 頭に浮かぶより先に、唇が動いた。 「孤独になど……させませぬ。私がいる限り」 鶏冠の言葉を聞き、ふ、と姫が笑う。 「似たようなことを、私に言ってくれた者がいる。……それだけでどれほど心強いことか。まだ生きていけると、思え…

宮廷神官物語 選ばれし瞳の少年

「……ああ、もう、泣くな」 懐から手巾を出して、天青に渡す。まったく、気が強くて意地っ張りのくせに、どうしてこう泣き虫なのだろう。それとも気が強くて意地っ張りだからこその泣き虫なのだろうか。どんなにつらい時でも、いつも笑っていた葉寧とは正反対…