田中哲弥

さらば愛しき大久保町

「おまえの頭の中って、楽しいことしか入ってないのか」 「はあ」と芳裕は首をかしげた。「なんでかなあ、それ、よく言われるんだ」 「うんうん」楠は真剣な顔で頷いた。「そうだろうとも」 「なんかねえ、ぼくは絶対カナコちゃんと結婚するような気がするん…

大久保町は燃えているか

「なぜ、武器を手に入れた最初に我々を撃たなかった?」腹ばいにさせられていた兵士が、ゆっくりと立ち上がりながら寺尾に訊ねた。「あのタイミングなら、やれていたはずだが」 寺尾はそんなこともわからないのかというように言った。 「俺たちは人を救おう…

大久保町の決闘

「これどうやってはずすの?」 「知らない」 この部分を読んだとき、クーと叫びたくなりました。素敵に面白おかしいボーイミーツガールですね! → 感想

やみなべの陰謀

「不細工な女は許されへん」と常々大村井君は言う。その嫌い方は病的なほどだ。しかし、ある程度の水準に達すると、とりあえずは「アタック」する。アタックですぞ。 ある程度の水準というのは、ぼくにはよくわからないが、なんとなく思うのは大村井を見た瞬…

ミッションスクール

「五年前の秋に、同じように備品の不足を取りに行った当時の部長は、それきり帰ってこないそうだよ」 「なんだ、そんな噂どこにだってあるよ。ただ、いなくなっただけなんでしょ」 「か、可愛い」 「死ね」 「失踪から半年後、頭部と、左手首だけは発見され…