篠崎砂美

お隣の魔法使い 語らうは四季の詩

「では、メアリー、これをお願いします」 あたしは、まじまじと、その注文書を見てみた。 『注文書。手作りクッキー。製造元メアリー・フィールズ』 「注文を受けてくださいますか」 「もちろん。でも、高級品だから、お値段は高いわよ」 「では、とってもお…

お隣の魔法使い 永遠は三つめの願い

「今のは、なんだったの」 あたしは、呆然としてその場に立ちすくんだ。 「空いている紙袋だったので、旅に出たい子猫が飛び込んだみたいですね。春の子猫だからこそできる技です」 技って何よ、技って。そんな、危ないじゃない。風に飛ばされていって、うっ…

お隣の魔法使い 不思議は二人の使い魔

一年は三六五日、毎日は同じようでも、本当は毎日が特別な日なのですから。この町だって、名前のある特別な日が何日もありますし、世界中ならもっとたくさんあります。 だから、毎日は全く違う顔で、いくつもの名前を持っているんですよ。ときには、その日に…

お隣の魔法使い 始まりは一つの呪文

それならそれで、ある意味好都合かもしれない。 ヘイゼルナッツさんがいる間に、ぜひともその正体を暴いてしまえばいいのだ。そうすれば、芋づる式にツクツクさんの正体もわかるかもしれない。なにしろ、名前以外はすべて謎な人なのだから。あたしのお隣に引…