藤原瑞記

刻印の魔女

「宿屋はどこにあるのかしら?」 女の声に促されて、トリシャはくらくらしながら眼下に広がる街を見下ろした。歩きなれた街だが、上から見るのは初めてのことだ。 「奥様、これは一体……」 馬をあやつる手馴れた様子に、さすがにおかしいと気づいた。 女は軽…

光降る精霊の森

森の警備員として働く元修道士のエリ。 ある嵐の夜、まるで犬と見間違うほど大きい黒猫と出会った。小さな少女ファティを連れた黒猫と。 精霊である黒猫は言う。「僕らと一緒にデェエフまで行って欲しい」 少女であるファティを保護するものが必要だと。 な…