金庸

秘曲 笑傲江湖 7 鴛鴦の譜

「お父上はすでに君を俺にくれたんだぜ。永遠に栄えて、江湖を支配する聖教主に、二言があっちゃならないだろ。俺たち、ここで天地を拝んで夫婦になろうか」 盈盈は目を丸くした。令狐冲が大胆不敵で、奔放不羈だとは知っていたが、こんなことを言い出すとは…

秘曲 笑傲江湖 6 少林寺襲撃

「こ……これは……」 「東方不敗!」 盈盈が低くつぶやいた。令狐冲も同じことを考えていた。師父がつかっちエルのはまさに、東方不敗が、自分たち四人と渡り合ったときの武芸である。驚きと好奇心で、令狐冲は激痛を忘れて立ち上がった。 東方不敗が実は……には…

秘曲 笑傲江湖 5 少林寺襲撃

「令狐どの。聖女からおぬしを殺せとのご命令があったが、おぬしはあまりに腕がたつ。一刀をかわされたうえ、手加減までしてもらって、かたじけない。皆の者、よいか。わしらは令狐どのを殺さぬのではなく、殺せぬのじゃ。そうであろう」 爆笑がおこった。 …

秘曲 笑傲江湖 4 天魔復活す

(あの日、俺は任教主に「葵花宝典」が手中にありながら、なぜ「吸星大法」を修行するのかと訊いたが、答えてもらえなかった。今なら俺にも分かる。「吸星大法」はひとたび始めると、止められなくなってしまうんだ) 彼はゾッとした。 (泥沼にはまらないよ…

秘曲 笑傲江湖 3 魔教の美姫

「ねえ、行かないで!」 「いっしょにいれば、お嬢さんにご迷惑がかかります。やはり一人で去ったほうがいいんです」 「あたな……あなた……」 盈盈は唇をかみ締め、ずっと立ち止まらない令狐冲を見て、さらに数歩駆け寄った。 「令狐冲、どうしても私の口から…

秘曲 笑傲江湖(2) 幻の旋律

「小わっぱ、気に入ったぞ。さあさあ、独孤大侠の第一剣と第三剣を、もう少し稽古するとしよう」 風清揚は、ただちに独孤氏の第一剣の秘訣を、掻い摘んで講釈した。 「今日勝てなくても構わん。あと一日学べば、どうあろうと、明日は勝つ」 意外な弱さを見せ…

秘曲 笑傲江湖 1 殺戮の序曲

「座って闘えば天下第二、はって闘えば何位かな?」 笑って言うなり、スックと立ち上がった。令狐冲の方もアハハと笑っている。 「あんたの負けだ!」 「クックッ、そんな無様な負け方をしたくせに、俺の負けだと?」 令狐冲は地面に伏したまま訊ねた。 「さ…