雨宮諒

シゴフミ4 ―Stories of Last Letter

「躓いた時こそ前を向けと人は言うけれど、そうやって足元を見詰めるのも悪くないことだと、わたしはそう思うわ。なぜならそれは、もう二度と躓くまいとする自制と自戒の表れだから」 文伽はハッと顔を上げて、声の主を見る。 「ほら、意外と簡単でしょう?…

シゴフミ3 ―Stories of Last Letter

「ほれ、これでワシらは『輝けるもの』を一つ手に入れた」 少年がどういうことかと訊ねると、老人は満面の笑みでこう告げた。 「― 友情だよ」 「死」後文という設定で、ここまで温かさを見せてくれるとは思いもしませんでした。すばらしい。→ 感想

シゴフミ2 ―Stories of Last Letter

「……マヤマ。ありがとう」 それが、ずっと生意気な口調で語りかけていたカムイの、最初で最後の感謝の言葉だった。 その言葉を聞いた時、マヤマは悟る。 ―僕にできることは、もう何もないんだ。 前作よりも、悲しみに泣かされるお話でした。→ 感想

シゴフミ―Stories of Last Letter

「手紙を渡す機会なら、これからもまたあるのよ?」 「ううん。もう充分よ」 「後悔しない?」 「ええ、もちろん」 「一言だけ、言っていいかしら?」 「なぁに?」 文伽は小さく息を洩らすと、静かに告げる。 「……あなた、大バカよ」 わかっていても泣かさ…