スペシャリストの誇り

三編からなる短編集

  • ファロットの美意識

平和な町で惨殺死体が発見された。体を各パーツごとに切断し、縫合した死体が。
死体が発見された公園では入出者の記録がつけられている。
にもかかわらず、その死体を持ち込んだものの記録が見つからない。
いったい誰が、何の目的で?


その惨殺さ故に正体を知る者から疑いをかけられるレティー
だが、彼をよく知る者は、レティーの仕業ではない、と言う。
「あいつはプロフェッショナルだ」
暗殺者として生きてきたファロット一族。だがそれゆえに仕事には誇りを持っている。
快楽殺人者と一緒にされてはたまらない。
疑いを解くために(積極的ではないにしろ)四人は行動を開始する。


普段とはちょっと違ったミステリィちっくな展開。
勢いで進むいつものパターンがないのがちょっと残念。
リィとシェラの初喧嘩にちょっとニヤソとしつつ、最後のレティーの見せ場がすごい。

  • ジンジャーの復讐

話題騒然の映画「レベッカ」。主演する予定だったジンジャーが突然降板する。
理由は「クーアと仕事はできないから」
まさか、スポンサーであるクーアを持ち出すとは思わなかった周囲の人々。
いったい何があったのか?


絶対敵にまわしてはいけない女性です。ジンジャーは。

  • 深紅の魔女

かつては危険を顧みずに戦闘機を操ったものだった。
だが、最新鋭の機体は搭乗者の安全を優先する。
人間が機械を操る時代から、機械の命令を如何に迅速に操作できるかが重要となった現在。
だが、そこでありえない光景が待ち受けていた。
かつての、半世紀前の機体が、試験運用とはいえ、最新モデルを凌駕する性能を発揮するなんて・・・・・・。


深紅といっただけで誰をさすかわかる。
その能力に衰えは無い(そりゃ目覚めたばっかりだから当然)。
ラストの老人たちの姿勢に敬礼。


著者曰く「一芸に秀でた人が好き」ってことで、そういった話を書きたかったとか。
職人のプライドってのは大事ですよね。

そういえば、最近この人の長編を読んでないなあ。
新シリーズ、あるいは今のシリーズで長編って書かないのかしら。
あのデルフィニア戦記のような興奮をもう一度!


スペシャリストの誇り - 茅田砂胡