空中ブランコ

空中ブランコ - 奥田英朗
サーカスの花形、空中ブランコ
自分はエースだ。
両親がサーカスをやっていたこともあり、幼いころから触れていた。
でも、最近はなぜかうまくいかない。
それもこれも自分を支えるキャッチャーが嫌がらせをするからだ。
そんな自分に対して団長や妻は言う。
「疲れてるんだよ。よく眠れないだろう?」「病院にいってみたら?」
俺ではなく、あいつが悪いんだろう。
そう思いつつ、自分にも何か原因があるのかもしれないと神経科にいってみた。
そこは伊良部総合病院と呼ばれていた・・・。 - 「空中ブランコ


表題作の「空中ブランコ」を含め、尖端恐怖症のやくざ、思うようにボールが投げられないプロ野球選手などさまざまな患者が訪れる神経科の物語。


ほんのちょっとしたありえそうな神経の症状が意識することでさらに悪化する。
それをまるで五歳児のように無邪気な医者伊良部と、谷間を見せ付ける服装をした看護婦のマユミ(Fカップ!)が相手をすることで、気がつけば心の中を打ち明けていて、その騒動に巻き込まれるうちにいつしか原因が判明するストーリィ展開。


いやいやいや、面白い。こんな短い話で終わるなんてもったいないぐらい。
身近にこんな人がいたら本気でいやなんだろうけれど、憎めないのは愛嬌があるからだろうか。
同一の主人公が出てる「イン・ザ・プール」という作品もあるらしいので、そちらも手をつけることにしよう。
第131回直木賞受賞作。