逃亡くそたわけ

躁病で入院している私。共に入院していた「なごやん」をつれて脱走した。
だが、家族にすら見放された私。行くところがなかった。
聞こえてくる幻聴。見える幻覚。
不安を抱えながら「なごやん」との逃亡が始まった・・・・・・。

躁鬱のはげしいふたり。不安ばかりの道中は、でも意外に楽しそう。
逃げるというのは辛いものだよ。それに理由はいらない。
舞台が九州(福岡)ということもあって、主人公は博多弁で会話。
相手の「なごやん」が博多弁に疎いという設定だったため、わからない言葉は
説明してくれるものの、読んでいてひっかかるのはしょうがないことかも。
会話のテンポに慣れる中盤以降まではノリにくかったのが残念。
第133回直木賞候補作。


逃亡くそたわけ - 絲山秋子