ジェニーの肖像

ぼくは貧しく、ぼくの作品は全く知られてなかった。
それに絵を通して世界を伝えられない自分に落ち込んでいた。
その晩、公園でひとりの少女と出会う。
ジェニーと名乗った少女の不思議な雰囲気は心地よかった。
だが、数日後に再び出会ったとき、ジェニーは数年を経たかのごとく成長していた…。


この不思議な雰囲気の物語は、静かに引き込まれる。
きれいな情景を想像させる描写も詩的で素敵。
読み進めるにつれて膨らむ不安感。
ショックではなく染み込んでくる喪失感。
にもかかわらず暖かいものが残る。


ネイサンの小説は

私たちが一人きりではないことを

今も教えてくれているのだ



解説:恩田陸

こういう物語があったとは露知らず。
作品の雰囲気を伝えられないのが残念でならない。
しっとりとした雰囲気に浸りたい人はぜひ。


ジェニーの肖像 - ロバート・ネイサン