となり町戦争

となり町との戦争がはじまる。それを知ったのは広報だった。
そして迎えた当日。でも変わらぬ日常。
だが新たな広報には驚きの情報が記されていた。


死亡 23人 (うち戦死者 12人

いつの間に戦死者が?
実感のわかないまま過ごす日常に変化が起きたのは、役場からの通知だった。

  • 戦時特別偵察業務従事者の任命について

いつしかとなり町との戦争に巻き込まれた僕は……。


これはなんというべきか。恐ろしいまでにリアル。
実際にこんなことがどこかの町で行われていてもおかしくないほど現実的。
同時に、自分が同じことに巻き込まれたとしても実感がわかないのではないだろうか。
そして同じように自分が実感するのは、あのラストの海のシーンであると。


「これが戦争なんです……」


そう。それが戦争なんだ。
とてもひきつけられ、とても面白く、とても考えさせられた作品。
第133回直木賞候補作。


となり町戦争 - 三崎亜記