平井骸惚此中ニ有リ 其参

7年ぶりに会う幼馴染。「私のことお嫁さんにしてくれるって約束したじゃない」
そんな昔のことを持ち出してきたからさあ大変。平井家は騒乱にまみれた。
何はともあれ行く場所がないという翠子は、平井家に下宿することに。
だが、太一に会いにきたといいながら常に外出する翠子。
不審に思った涼は翠子の後をつけ……、そして誘拐事件に巻き込まれる!


事件の途中で誘拐犯人の想像はつく。
ただ、別の事件の絡み合ってたのが秀逸。


「動機が人を殺人者にするのじゃあなく、状況が人を殺人者にするのだろうさ」


最近のミステリィものは似たようなことを言いますね。個人的に同感です。
それをきっちり自分の言葉にしているところも高評価。


もうひとつの太一と涼の展開。今回はなかなかひねったパターン。
涼ではなくハツ子をうまく引っ張りだしてきましたね。これは協力して欲しいところ。
とはいえ最後はきっちり持ってきましたが。この人はキャラクタの使い方がうまい。
何せ、ほとんど出番がない奥様、澄の存在感といったらもう!
いつか短編でもいいので 澄メインの物語を書いてもらいたいところ。
そんなシリーズ第三巻。


平井骸惚此中ニ有リ 其参 - 田代裕彦


次作の感想: 平井骸惚此中ニ有り 其四
前作の感想: 平井骸惚此中ニ有リ 其貮